追加しました。
なお、全体記事はこちら。
3.代行だから大丈夫
最近、退職代行が流行していますが、それは「代行だから非弁ではない」などと主張しているようです。
この代行だから非弁にならない、というのは、明確に誤りです。
非弁行為、つまり、弁護士法72条が禁じている行為の中には「代理」というものがあります。
そして、単にそのまま意思を伝えるだけであり、代理人を名乗らない行為については、確かに、弁護士法72条の「代理」にあたりません(ただし、代行や使者行為についても、この「代理」に含まれるとの見解もあります。)。
しかし、弁護士法72条は、代理だけではなくて、法律事務一般を規制対象としています。
法律事務には、法律関係を変動させたり、あるいは明確化したりする行為が含まれます。
退職というのは、労働契約の解除に他ならないなわけですから、法律関係を変動させる行為です。
また、退職届を別に本人に出させても、それを支援するわけですから、法律関係を明確化する行為として法律事務に該当するといえるでしょう。
退職の流れとか、見通しとか、そういう助言をすれば、それは「鑑定」であり、この点からも非弁行為です。
非弁行為というのは、実質判断で、しかも複数の規制があります。ですから、本来は「〇〇だから非弁ではない」という言葉は、すこしでもこの分野を学んだことがあれば、出てくるはずのない言葉です。
こういう言葉が出てきた時点で、かなり怪しい、と考えるべきでしょう。