弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは,氏名住所を明記の上 i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

タグ:非弁行為

以前から,探偵業の許可を悪用して,非弁行為を行うケースがありました。

探偵業について,よくある誤解があるのですが,探偵業そのものに,その技能などを認定する国家資格,免許などはありません

探偵業は,主に届出制という規制が行われています。これは,その業務を行うには,都道府県公安委員会への届出が必要というものです。逆にいえば,届出さえすれば,一定の例外を除いては,特に資格も何も要することなく,探偵業を行うことができます。したがって,たとえば試験等を要求される自動車免許よりは,この点においては,規制が緩いということになります。

また,探偵業については,探偵業の業務の適正化に関する法律という法律があり,その法律によれば,次のように定められています。

6条 探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。

つまり,探偵業だからといって,それだけでは特別な試験などを経ている訳ではなく,しかも特殊な一般人が行えないことができるような特権が付与されているわけではありません

これは,弁護士業つまり法律事務との関係でも同じで,例えば詐欺業者について調査はできても,そこから回収をしたり,そのための必要なアドバイスができるというわけではありません

中には,山のように警察関係等,公的機関のウェブサイトへのリンクを貼り付けて,さも特殊な許可を得た機関のように装っているかのような探偵業者もありますので,誤解が無いように注意が必要です。

なお,通常,不倫や詐欺被害等について解決をしたいのであれば,弁護士に相談をし,弁護士の指示や見通しにそって,必要に応じて探偵業者を利用することが,最も合理的だと思います。

運転免許がないと自動車を運転できないように,医師免許がないと医業ができないように,弁護士資格がないと弁護士業務をすることはできません。
 
ところが,無免許運転が今でもなくならないように,弁護士資格がないにもかかわらず,弁護士業務を行う例が後を絶ちません。弁護士業務を違法に無資格で行うことを「非弁行為」あるいは単に「非弁」といいます。
 
ここでは,非弁について,簡単な説明をします。
 
まとめ
 
①弁護士資格がないと弁護士業務が出来ない。
②「非弁」「非弁行為」とは,弁護士資格がないのに弁護士業務を行うこと
③非弁行為は犯罪であるし,頼んだ行為が「無効」にされたり,疑義を差し挟まれるなどトラブルの原因になる。
④弁護士業務(法律事務)のうち,一部の業務は,司法書士や税理士等の有資格者でも行える。
⑤書面作成だから,代行だから非弁ではない,というのは間違い。
 
1.非弁とは
 
非弁とは,弁護士資格がないにもかかわらず,弁護士業務を行うことをいいます。非弁行為ともいいます。
また,弁護士が,こういう無資格者に協力をすることもあります。弁護士が非弁行為のために名義を貸す等することを「非弁提携」といいます
 
2.弁護士業務とは
 
弁護士でないと行えない弁護士業務の内容は,弁護士法72条本文に定められています。
それによると「法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務」と定められています。
大雑把にいうと,他人の具体的な事件,案件に関する「法律事務」であり,この中には,代理して交渉をするとか,法律相談に乗るとか,法的な文書を作成するとか,そういった行為等が含まれます(自分の法律事務を自分で取り扱うことは,もちろん問題はありません。保険会社が示談代行できるのは,あくまで保険会社は自分自身の保険金支払いに関する法律事件を扱っているからです。)。

なお,他に報酬目的,業務性などの要件もあり,また,いわゆる「事件性(?)」の議論もありますが,かなり細かい・専門的な話になりますので,今回は省きます。
また,司法書士・税理士等の資格があれば,弁護士法の例外として,その資格の範囲内で法律事務が取り扱えます
 
3.なぜ非弁行為が流行るのか
 
運転免許における運転や医師免許における医業等ほどには,他人の事件について行う法律事務には資格が必要である,という意識がさほど浸透していない,ということが主な理由だと思います。
 
また,イメージの問題ですが,弁護士は敷居が高い,料金が高い,というような理由から敬遠され,あるいはそうであると宣伝する業者が,「うちは安いですよ」というように勧誘する例が多いようです。実際には,むしろ,弁護士より高額であるケースがほとんどです
 
4.非弁行為を依頼するとどうなるか
 
非弁行為そのものは犯罪です。無免許運転が犯罪であることと同じことです。ただし,依頼者側では,非弁行為を依頼しただけでは,通常は直ちに犯罪が成立しないとされています。
 
もっとも,非弁業者に依頼して行った行為,契約は,事後的に無効と判断されるリスクがあります。また,仮に有効であるとしても,法的知識等について資格の裏付けがない者が関与している以上,解決に結びつかない,あるいは,内容において不利になるなどリスクもあります。
 
また,私の経験上,そもそも非弁業者の「料金」は,弁護士より高いか,少なくとも,広告内容と実際にやってくれることの一致がなく,「高くつく」ことがほとんどです。この点で,非弁行為の問題は,消費者被害の問題であるといえます。
 
5.「非弁ではない」という主張もあるが・・・
 
中には,これは書面作成である,代行に過ぎないから,非弁ではない,という主張がなされることもあります。
しかしながら,書面作成だから,代行だから,非弁行為になる/ならない,という解釈は,裁判例上も,実務上もとられていません。だから理由にならないのです。
法律上は,「法律事務」と定められており,これには代理が含まれますが,代理でなければ法律事務ではない,とももちろんいえません
 
もちろん,非弁行為にならないような書面作成や代行もあり得ます。
ですが,裁判例では,インターネット掲示板の管理者に投稿の削除を請求する行為や,債権の取立てや交渉のみならず,支払いを受け取ったり,登記の手続きといった,かなり形式的な行為も法律事務であるとしています
そうすると,法的な事項について,書面作成やなにかの通知の代行を行う場合,アドバイス等,依頼者に言われたことをそのまま伝える以上のことをすると,非弁行為に該当する可能性が高いのではないかと思います。

↑このページのトップヘ