弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは, i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

タグ:非弁提携

以前,「非弁行為とは?:書面作成/代行だから非弁ではない!?」ということで,非弁行為について解説をしました。

このように,一定の資格を有していないと一定の業務ができない規制は沢山あります。たとえば,運転免許とか医師免許の制度などです。

ところで,非弁行為については,更に規制があります。これが,今回,紹介する「非弁提携」という規制です(弁護士法27条,弁護士職務基本規程11条~13条)。

非弁行為は非弁護士つまり弁護士でない者を対象とする規制です。ですが,非弁提携は弁護士を対象とする規制です。

その内容は,弁護士が,非弁護士に名義貸しをしたり,有償の事件紹介を受けてはいけない,という規制です。そして,その違反の罰則は,非弁行為と同様のものです。

つまり法律は,無資格で弁護士業を行うことと同じくらい,弁護士がそれらに協力をすることを悪質な行為であるとしている,ということになります。

非弁提携のやり方は,いろいろありますが,弁護士が非弁護士に名前を貸して任せっきりにしている,営業を任せて事件の紹介を受けている,実質的に非弁護士と共同経営,あるいは「飼われている」などがあります。

利用者からすると,なかなか弁護士と連絡が取れない,話せない,あるいは法律事務所に相談をしたつもりはないのに,「いい弁護士を紹介する」など非弁護士に持ちかけられるなどの事情があれば,非弁提携をしている弁護士ではないか,疑ったほうがいいでしょう。

利用者にとって,非弁提携をしている弁護士に依頼するリスクは極めて大きいものです。
そもそも,非弁提携というのは,弁護士にとっては資格を失いかねない重大な犯罪です。それをあえてしている弁護士が,まともな事件処理をすることは期待できません。また,非弁提携を弁護士に持ちかけて,実際に事件処理や事件紹介等をしている,非弁護士についても同様です。

実際にも,非弁提携弁護士に依頼したが為に,その非弁提携弁護士にずさん処理をされたり,預かり金を横領されたりだまし取られたりする例があります。また,非弁提携弁護士がそういうことをしなくても,非弁提携業者が,半ば非弁提携弁護士を騙して横領等をする例もあります。

非弁提携は,依頼者にとっては重大な損害につながり,弁護士にとっては,破滅につながりかねない,重大な問題です。

なお,私が執筆した弁護士向けの記事ですが,これについてドキュメンタリー風に解説をしたものとして,「本当に怖い非弁提携」があります。

非弁については,何回か解説をしています。最近は,詐欺被害等への関心の高まりからか,市民にも非弁規制に関する知識が多少は広まったのではないか,と思います。

非弁行為あるいは,非弁行為ではないけれども,そう疑われる可能性のある事業を行う業者としては,顧客から非弁だと思われれば依頼を受けることはできません。また,相手方が非弁であると判断すれば,相手にされなくなり(法律行為は無効であると扱われ),これもまた「事業」を遂行することができません

したがって,最近,「自分たちは,非弁行為をしていない。これは,(顧問)弁護士にも相談をして確認をした。」などと標榜するケースがあります。

実際に,こういった事業者が非弁行為を行っているかどうかは別として,その信用性をどう考えるべきでしょうか。

一般論として,「本人がいう『弁護士がこういっていた』は信用できない。特に,その弁護士の氏名が不詳である場合は,なおさら信用できない。」というのが,弁護士の共通した印象であると思います。

これは,そもそも伝言ゲームであり,基本的に信用するかどうか慎重に考えるべきでしょう。また,これは,やむを得ないこと(むしろ弁護士が誘導すべき)なのですが,相談時に自分に都合のよいことをだけを,相談者が話すということはよくあります。加えて,弁護士の回答についても自分に都合のよいことだけを記憶に留めて,第三者にもそれしか話さない,あるいは都合良く修正する,ということはよくあります。
これは,法律相談に限らないのですが,非常によくあるパターンです。

また,非弁の疑われる事案においては,事業者にとっては,非弁に該当するかどうかが事業の継続性に関する重大な問題です。閲覧している者,つまり顧客はもちろん,その事業の「相手方」にも,納得してもらわないといけません。
このような重大なことを,弁護士に聞いた,といいつつもその弁護士の氏名も,その理由もろくに明らかにしない,というのでは,信用性については慎重に考えざるを得ないでしょう。

また,中には,弁護士ではなく「顧問弁護士」から話を聞いた,と表示をしているケースもあるようです。
ですが,大事な顧問先の大事な事業について,その氏名も理由も出さずに非弁ではない,と表示することは,あまり合理的ではないと思います。大事なことですから,顕名(氏名を表示)で,それに理由も付すべきだと思います。

もっとも,こういう表示については,弁護士もリスクを負担する場合があります。弁護士職務基本規程上は,非弁と疑わしき者を利用し,あるいは名前を使わせるだけでも違反行為となります。
そうすると,氏名を表示していないのは,そのリスクを避けるため,つまり,非弁の疑いがあると,他ならぬその(顧問)弁護士が考えているのかも知れない,という疑いも生じます

私としては,インターネット時代,いろいろな事業が興されるのは大変結構だと思いますし,非弁の疑いがあるケースでも,それを払拭して事業ができれば,それはよいことだと考えます。
ただ,実際に,そのために必要な配慮,準備(顕名で弁護士が理由付で非弁でないことを説明して顧客等に表示する等)が行われているか,というと,疑問を持たざるを得ないケースもあるのではないか,と思います。

専門家向けとしては,こういう書籍を出していますので,よろしければ,参考にして下さい。

これって非弁提携?弁護士のための非弁対策Q&A
http://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/103074.html

法律事務の範囲,いわゆる事件性(?)の要件の問題,他士業との業際問題,弁護士会の負担金問題などなど,実務上,よく問題になる,あるいは疑問を抱く論点は,概ね網羅しているかと思います。

第二東京弁護士会の倫理研修の講師をしてきました。担当は,非弁提携問題と弁護士広告でした。

弁護士には,弁護士自治という制度があります。かなり大雑把にいうと,弁護士は,業務について国の監督を受けない,監督をするのは弁護士の集まりである弁護士会である,というものです。

弁護士は,利用者との情報格差が大きい,重要な権利や財産に関与する,紛争や司法権の行使に関与する,影響を与えるということで,職務上,高度の倫理が求められます。

それを担保するために,弁護士には,倫理研修の受講が義務づけられています。

もっとも,倫理研修の在り方については,実効性の観点からもいろいろな議論があります。
(そのうち,論考を掲載したいと思っています)

↑このページのトップヘ