弁護士 深澤諭史のブログ

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タグ:非弁

非弁業者に依頼をしてしまうという被害は後を絶ちません。

非弁業者に依頼をした場合,こちらに不利な事情が明らかになる,あるいは不利な事情を作出してしまう,まとまる話もまとまらなくなるなど,その被害は大きなものになりかねません。

それでも,なぜ,非弁業者に依頼してしまうのでしょうか。また,中には,弁護士に同じことを依頼できることを知りながら,あえて非弁業者に依頼をしてしまうということすらあります。

経験等も踏まえまして,その理由をいくつか考えてみました。

1.非弁業者は簡単に結果を保証するから
弁護士は,結果を安易に保証することはしません
もとより,弁護士倫理としてそれは禁じられています。また,弁護士は,裁判そして判決,さらに執行までと,最後まで付き合うことのある仕事です。
そんな先のことは,将来的な事情の変動も考慮すれば,軽々に断言できるわけがありません。
一方で,非弁業者は,書面を作ったり,「代行」すれば,仕事はそれでおしまいです。結局,法廷に立つことはできません
最後まで付き合う気が無い,付き合うこともできないから,軽々に結果を保証します
それが,弁護士よりも頼もしく思ってしまうから,依頼してしまうのではないでしょうか。

2.非弁業者は,威勢だけはいいから
非弁業者,基本的に書類を作って「代行」をする程度の関与をするケースが大多数です(中には堂々と代理人と名乗る者もありますが。)。
そのような場合(これは未熟な弁護士にもしばしばあるのが嘆かわしいのですが),とにかく威勢の良い,甚だしいときは脅迫的な言葉を使います
そもそも裁判ではなく交渉の場面の場合,双方の合意つまり相手方が同意をしてくれないと事件は解決出来ません。交渉の肝は,ある意味で交渉の勝敗は相手方が握っているということを忘れないことです。
そうであれば,やたら攻撃的な文言を並べ立てたところで,何らのメリットもありません。もっとも,非弁業者は,そのあたりのことは分からないので,安易に脅迫的な文言を用います
その威勢の良さが,頼もしく思ってしまうから,依頼をしてしまう,大金を払ってしまうという事情があると思います。

3.非弁業者は,弁護士は高いと吹き込むから
非弁業者は,弁護士に頼むと高いからといって,自己への依頼を勧誘します
そもそも,非弁業者に依頼した行為は,事後的に無効と判断される可能性があるのですから,無に代金を払うようなもので,安い高い以前の問題があります。
経験上,非弁業者は弁護士より高額な場合がほとんどです。また,かえって不利にもなるわけですから,高い安い以前の問題,高く付くという存在です。

まだまだいろいろありますが,概ね,以上の要因が大きいのではないか,と思います。

非弁行為該当性が疑われるサービスについて,「廉価(安価)であると非弁リスクがある」等の言説が存在するようです

まず,前提として,非弁行為は報酬目的性が必要ですが,基本的にその多寡は問いません。また,第三者から得る場合でも,実際に得る必要はありません。

ですから,報酬が高いから安いからといって,非弁リスクが変動することは原則としてありません

もっとも,事実上の問題として,報酬の多寡と非弁リスクが連動をする事があります。
それは,意外にも「報酬が高いと非弁リスクがあがるということではないかと思っています。

ある事業で提供しているサービスが非弁に該当するかどうかという問題は,要するに,そのサービスが,弁護士法72条本文にいう,法律事件に関する法律事務に該当するかどうか,という問題です。

報酬の多寡と法律事務に該当するかは,一見して別問題です。すくなくとも法律上,形式的には関係がありません。

ですが事実上の問題として,報酬というのは,そのサービスの難易度,分量,コストに応じて設定されるものです。そのサービス提供に高度の技術が必要とされるとか,分量が多いとか,それらは,報酬が高く設定される要因となります。

一方で,法律事務に該当する行為は,広範に及びますが,裁量を委ねられて「代理」して交渉をするとか,専門的法律知識に基づいて判断を提供して「鑑定」するとか,あるいは,法律効果を発生させたり,それを保全して明確化する(=その他の法律事務)行為と考えられています。

これらは,どれも相当の専門知識,技術が要求される行為ですので,それを提供するコストは相当なものになり,必然的に相当な報酬が設定される可能性が高くなります。

これを逆の方向,つまりサービスから報酬を設定するのではなく,報酬からサービスを推定してみると次のことがいえるかもしれません。
つまり,報酬が高額であれば,法律事務に該当するような行為を行っている,すなわち非弁行為に該当する行為を行っていることが推定されます。

たとえば,数千円や,1万円2万円程度(この数字は,提供サービスの性質にも依存するでしょう。)ではなく,それを超える費用が設定されている場合,言い分をそのまま,あるいは,当初設定した言い分から選んでもらって転送つまり「代行」する程度であるとは,通常は考えがたいと思います。必要な労力に比して,費用が高いと考えられるからです。

その金額に見合う程度の,「鑑定」や法律事務が行われているのではないか,という疑いが必然的に生じることになります。もちろん,これを覆す別の事情があればそうではありませんが,それがないと疑いは生じるであろう,ということです。

そういうわけで,法的,形式的には報酬の多寡と非弁行為該当性は直接につながりませんが,事実上,これが高いと非弁行為になるリスクは高くなるのではないか,と思います。 

現行法上,弁護士紹介業は違法です。

◯弁護士法72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

この法律によると,弁護士でない者は,法律事件に関する法律事務について,周旋を報酬目的で業とすることができない,とあります。

周旋というのは,単純にいうと紹介ということで,この法律で,非弁護士の法律事務の紹介業は禁止されている,ということになります。
更にこの規制は厳格であり,この規制に違反する者から,弁護士が紹介を受けることも禁じられています。

◯弁護士法27条
弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない

ところで,弁護士法72条は,「弁護士又は弁護士法人でない者は」と定めています。
つまり,弁護士には適用がない,すなわち法律上は,弁護士であれば,法律事件に関する法律事務の周旋業(紹介業)をやってもいい,と読むことが出来ます

そうすると,弁護士としては,弁護士紹介業ができる(?),たとえば,「あなたにピッタリの弁護士を,責任を持って紹介します。弁護士の目から見た最適な弁護士の紹介です。安心してご利用下さい!」ということもできるはずです。

ですが,実際には,弁護士は紹介業をする事が出来ません
それは,法律上は許されているのですが,上乗せ規制,ある意味で弁護士の自主規制として,日本弁護士連合会が定めた弁護士職務基本規程により,禁じられているからです。
これに違反をした場合,資格剥奪を含めた重い処分が下されることになります。

◯弁護士職務基本規程13条
1 弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払っては
ならない。
2 弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはなら
ない。

法律上は弁護士紹介業は,弁護士であれば可能であるが,日弁連の規程で禁じられている,ということになります。
逆にいうと,弁護士職務基本規程の改正,つまり,日弁連すなわち弁護士たちだけの意思で「弁護士紹介業」を解禁できる可能性もあるというわけです。

弁護士による弁護士の紹介業,これは解禁するべきでしょうか?それとも,解禁すべきではないのでしょうか?
いままで,あまり議論をされてこなかったところですが,議論があってしかるべきだと思っています。

これまで,非弁をテーマにして細々と書いて参りました。
ですが,読者の大部分を占めるであろう,弁護士を利用する立場の方からすると「要するに,簡潔に言うと,非弁業者や非弁提携弁護士に依頼すると何が問題なのか?」ということこそが疑問だと思います。
ということで,その点について,まとめて説明します。

ここでいう非弁業者とは,弁護士資格がないにもかかわらず,弁護士業務を行う者をいいます。非弁提携弁護士とは,違法に弁護士を紹介する業者と提携している弁護士をいいます。

非弁業者に依頼することのデメリットは,先ず第一に,ずさん処理というリスクがあります。
もちろん,抽象的には非弁業者であってもちゃんと処理できる可能性はあるかもしれませんが,無免許運転が安全運転であることを期待するようなものです。私の知る限り,まともな処理がされた事例は皆無です。

また,そもそも効果のない手続きや処理をすることで,不測の損害を被るというリスクもあります。特に,自分に不利な事実を自分で認める書面を送りつけるというのは,非弁業者では,よくあることです。

更に,非弁業者は,弁護士のように弁護士会の監督,あるいは,預かり金管理等について届け出る義務,調査に応じる義務などがありません。
したがって,依頼者の知らないところで,預かり金を横領,不正処理する,費用を不正請求するということもやりやすい(発見できない。)というリスクもあります。

また,裁判例上,非弁業者の行った行為は無効になる場合があるとされています。
そうしますと,せっかく非弁業者に依頼をして,高額な報酬を支払ったのに,合意書や契約書,あるいは遺産分割協議書,遺言書,退職届けなどが無効と判断されてしまうリスクがあるということになります。

非弁業者がずさん処理をしているのであれば,かえって無効になるほうがいいという場合もあるでしょうが,必ず無効になるわけではないので,非常に不安定な地位に置かれることになります。

非弁提携弁護士についても,上記と同じようなリスクが指摘出来ます。
行為が無効になるリスクは低くなるでしょうが,その代わり,非弁提携を弁護士に持ちかける業者は,最終的に横領等の使い込みで弁護士を利用者ごと食い物にしようとしています
ですから,横領リスクは非常に高いといえるでしょう。

弁護士資格がないにもかかわらず,いろんな名目で弁護士業務をしようとする業者や,あるいは,弁護士でない業者から紹介を受けて出てくる弁護士,特に会えない,電話でもなかなか話せない弁護士には,依頼をすべきではありません。

今回は専門家,それも弁護士向けの話です。

非弁提携の不利益について,どれくらい知っているでしょうか?
非弁提携による不利益は,弁護士法27条違反による刑事罰や,弁護士会の懲戒処分だけではありません。

非弁提携業者が,経費名目で弁護士から吸い取っていく,しばしば依頼者の預かり金からも横領するということも,重大な損害です。莫大な債務を負担することになることも,珍しくありません。

親切そうな顔をして,おだてて近づいてくる,支援だの協力だのいっても,更にコラボだのコンサルだの,カタカナ語を駆使しても,非弁提携は非弁提携です。

最近の非弁提携業者は,平気で弁護士を使い捨てにします。自分こそが被害者だと主張することも珍しくありません。

非弁提携をしないことはもちろん,もし非弁提携の罠にかかってしまった,怪しいと思ったら,是非,少しでも早く弁護士会に相談をして下さい

早ければ早いほど,被害を小さく留めることができます。

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