不要な土地というのものは、そのままですと草刈りなどの維持管理費もかかります。

また、処分しようにもそう簡単に引き取り手は見つかりません。「負動産」なんて言葉もあるくらい、悩ましい存在になることがあります。

今回は、そういう問題に対する国の施策について解説します。

以下は、淺井健人弁護士(東京弁護士会)からの寄稿です。

 

1 財務省の動き

不要な土地・建物、国に寄付可能に 財務省検討

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42380600S9A310C1MM8000/

 

これまで、財務省は、土地等の寄付は原則として受け付けていませんでしたが(https://www.mof.go.jp/faq/national_property/08ab.htm)、骨太の方針2018(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2018/2018_basicpolicies_ja.pdf)でも掲げられた所有者不明土地への対策のために、動き出したようです。

 

2 法律改正の動き

所有者不明土地への対策のためには、民法等の改正も必要になることから、民法及び不動産登記法について、平成31年2月14日に法制審に諮問がなされ(http://www.moj.go.jp/content/001284667.pdf)、2020年までに急ピッチで改正がなされる見込みとなっています(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shoyushafumei/dai2/schedule01.pdf)。

法制審の準備としてなされていた登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会では、最終報告(https://www.kinzai.or.jp/uploads/touki_houkoku_20190228_1.pdf)では、所有者不明土地への対策のために、


相続登記を義務化するか、

義務化した場合に罰則等を設けるか、

義務化した場合に相続登記へのインセンティブ(登録免許税の減免等)を付与するか、

土地建物の放棄を認めるか、

認めるとしてどの範囲で認めるか、費用負担を求めるか


といったことも検討されていました。

 

3 まとめ

売却できない固定資産税だけかかる負動産を相続等で取得された方としては、今後、不要な土地建物の寄付が認められる場合には、どの範囲で可能となるのか、費用負担付となるのかといった点は、注目されるところです。

相続登記をされていない方にとっては、相続登記が義務化されるのか、罰則等が設けられるのか、相続登記へのインセンティブが設定されるのかといった点は、注目されるところです。