弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは, i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

タグ:法曹養成

受験生時代に使っていた書籍の一覧を投稿するのが流行っていました。
ということで,私の愛用書も投稿したのですが,結構反響がありました。



いずれも,いわゆる司法試験予備校(受験指導校)のテキストです。

そういえば,以前,ロースクール研究という雑誌がございまして,その中で,「K&Cの亡霊と伴に!」というコラムがありました。
それによると,司法試験予備校のテキストを使って勉強してきた者は,予備校の弊害が染みついていて,成績を下げていく,とのことでした。

幸いにも,無事に一発合格できました。でも,その弊害が染みこんでしまうような書籍で勉強した人間ですら,合格できるような司法試験について,修了生の合格率が50%切っている法科大学院は,一体,どういう「弊害」が染みついているのでしょうか?

このままだと,法科大学院とその制度の方が,「亡霊」になってしまうかもしれませんね。

各所で法科大学院制度が話題ですが,今の制度の惨状の原因は,結局,このやりとりに集約されると思います。
出典は,第151回国会 法務委員会 第20号(平成13年6月20日(水曜日))からで,枝野委員は,枝野幸男先生,佐藤委員は,佐藤幸治先生です。
強調は筆者によります。

○枝野委員 別の視点から聞きます。
 今回、受験技術優先、それから受験予備校に大幅に依存するダブルスクール化ということを問題だという視点から取り上げていらっしゃいますが、例えば、受験予備校の実態、そこでなされている教育、そこで教育をしている教育者の立場、そこで教育を受けている人たち、そういうところの教育の結果として司法試験に受かったそういう若手法曹の意見、こういうものはどれぐらい聞かれましたか、あるいは調べましたか。
○佐藤参考人 直接ヒアリングに来ていただいて伺ったということはしておりませんが、いわゆる予備校などから審議会あてに、こういうことだ、こういうことを考えていただきたい、そういう文書はちょうだいしておりますし、私もそれは目にしております。実際にどういう実情にあるかというのは、私はつまびらかにはしませんけれども、私の関係した学生やいろいろなものを通じて、どういう教育の仕方になっておってどうかということは、ある程度は私個人としては承知しているつもりであります。
○枝野委員 つまり、十分に御存じになっていなくてこういう結論を出しているわけですよ。

地方の法科大学院は,危機的状況のようです。

法科大学院細る九州 志願者減止まらず6校が2校に
https://this.kiji.is/398948472369333345

こうなったら,もう,日本の隅々まで法の光を行き渡らせるため,法科大学院を修了しなくても司法試験がそのまま受けられるようにしたら,どうでしょうか?

このままでは,地方切り捨てとの批判は免れないと思います。

我が法曹界では,定期的に,「志願者が激減してしまった。原因はなんだろう?回復させるにはどうしたらいいだろう?」というようなことが話題になります。

なんとも悲しい話題ですが,一部の人は,司法試験の合格率が低いせいであると指摘します。ただ,合格率が一桁だった時代(今より志願者が多かった。)を考えれば,この指摘は,あまり合理性がないと思います。

この点について,私が所属する第二東京弁護士会の機関誌「二弁フロンティア」が,原因をデータから,統計から分析していますので,紹介します。

二弁フロンティア2012年12月号では『データでみる「法曹志願者の激減」』という特集が組まれました。
それによれば,多大な時間的・金銭的負担の末に取得する資格であるにもかかわらず、その資格で「飯を食う」ことができない。これほど資格の魅力を損なう話はない。資格の魅力が低くなればなるほど、その資格を目指す人間は減る。』と指摘しています(なお,今は当時よりは新人弁護士の就職環境は,かなり改善したと聞いています。)。

その上で,『問題の本質は、「法科大学院や今の法曹界がどう考えるか」ではなく、「法曹界入りを検討している学生や社会人がどう考えるか」という点にある。「こちら側」の都合だけで物事を考えてはならない。』
と指摘しています。

かなりごもっともな指摘だと思いますが,如何でしょうか。
今,国の機関でいろいろと検討しているのですが,観念論,精神論紛いの議論ではなくて,データに基づいた客観的で合理的な議論がされることを,期待したいと思います。

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