我が法曹界では,定期的に,「志願者が激減してしまった。原因はなんだろう?回復させるにはどうしたらいいだろう?」というようなことが話題になります。

なんとも悲しい話題ですが,一部の人は,司法試験の合格率が低いせいであると指摘します。ただ,合格率が一桁だった時代(今より志願者が多かった。)を考えれば,この指摘は,あまり合理性がないと思います。

この点について,私が所属する第二東京弁護士会の機関誌「二弁フロンティア」が,原因をデータから,統計から分析していますので,紹介します。

二弁フロンティア2012年12月号では『データでみる「法曹志願者の激減」』という特集が組まれました。
それによれば,多大な時間的・金銭的負担の末に取得する資格であるにもかかわらず、その資格で「飯を食う」ことができない。これほど資格の魅力を損なう話はない。資格の魅力が低くなればなるほど、その資格を目指す人間は減る。』と指摘しています(なお,今は当時よりは新人弁護士の就職環境は,かなり改善したと聞いています。)。

その上で,『問題の本質は、「法科大学院や今の法曹界がどう考えるか」ではなく、「法曹界入りを検討している学生や社会人がどう考えるか」という点にある。「こちら側」の都合だけで物事を考えてはならない。』
と指摘しています。

かなりごもっともな指摘だと思いますが,如何でしょうか。
今,国の機関でいろいろと検討しているのですが,観念論,精神論紛いの議論ではなくて,データに基づいた客観的で合理的な議論がされることを,期待したいと思います。