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といっても,私の場合,なにか意見を求められることよりも,既存の法制度とか,裁判例とかの紹介,解説を求められることのほうが多いです。

これらは当たり前ですが,私が決めたことではありません。法律であれば国会ですし,裁判例であれば,その事件の担当の裁判官が決めたことです。そして,ほとんど場合,私が弁護士になる前,下手すれば生まれる前にできた法律や裁判例の話だったりします。

私が別に決めたことでもなんでもないにもかかわらず,その内容が気にくわないとして,殺害などを予告する電話等が事務所までくることがあります(勘違いして脅迫する人がいるので念のためにいっておきますが,殺害を明確に述べなくても,仕事を妨害する,不安感を与えようとする,名誉などについて危害を予告する,示唆する内容であれば,丁寧語で表現しても脅迫罪になり得ます。)。

それらについては,警察への通報等,厳正対処することにはしているのですが,私の意見ではない,私が決めたわけでもないことについて,こういう反応があることは,不思議なことだと思います。

もっとも,法律や裁判例の中には,勉強をせずに一見だけすると不合理に思ってしまうものもあります。ですから,こういう現象は,法教育の普及が進んでいない,正確な法情報が市民に普及していないからだ,という見方もできると思います。