弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは, i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

タグ:法律デマ

インターネットの普及により、誰もが手軽に情報の発信者となることができました。
それに伴い、これまで、放送業界や著述業など、プロだけが意識をすればよかった名誉権、プライバシー、著作権の問題について、一般市民も発信をする以上は意識をすることが必要になってきました。

と、こういう枕詞を、もう述べることが野暮というか、古臭く感じるくらい、市民による情報発信は普及し、あるいは常識になっています。

ここでは、著作権に関するデマ、特にネットで流布され、行われているデマについて、紹介しようと思います。

ちかく、ひょっとしたら、権利者側(無断転載の被害者)からのデマについても解説するかもしれません。

1.引用だから大丈夫
一番多いのですが、過去に解説した通り、引用の要件は、かなり厳しいです。出典を明記すればよいとか、そういうものではありません(そもそも、正確に言えば、出典の明記は引用者の義務ですが、引用の要件ではありません。)。

2.少し転載しただけだから大丈夫
よく漫画の転載である話ですが、一巻丸ごとではないから大丈夫とか、そういう話があります。
一話丸ごとであれば、基本的に引用の要件は満たさないでしょう。また、場合によっては1ページ程度でも、引用の要件を満たさない場合がありえます。
この辺りは、形式的に決められる話ではありません。

3.お金を取っていないから大丈夫
そういうルールはありません。転売目的でないなら泥棒しても良い、というようなレベルの話です。

4.苦情があれば削除するから大丈夫
そういうルールもありません。
万引きしてもばれたら商品返すから大丈夫って、ネットで言ったら袋叩きにあいそうな話と、同レベルです。

5.親告罪だから大丈夫
親告罪は、告訴されないと犯罪にならないという意味ではありません。また、それが不法行為であることとも関係ありません。
一例を挙げれば、器物損壊罪も親告罪ですが、だからといって、気軽に日常的に人の車のエンブレムを剥ぎ取っていいわけがありません(どこかの漫画の主人公がやっていましたが)。
4についてもいえますが、「ずーっと、苦情を言われなかったので・・・」ということになると、賠償額が積算されてとんでもないことになる可能性もあります。

6.二次創作だから大丈夫
これは、二つ意味があって、二次創作についても、二次創作者は著作権を有します。
ですから、二次創作を勝手にコピーなどすると、二次創作者の著作権侵害となります。
一方で、原著作者は、二次創作物についても権利を保持します。
ですから、自分が作ったといえども、それが二次創作であれば、原著作者の許可なく、公開すると著作権侵害に問われかねません。
イラストではなくてグッズだとまずいとか、いろいろな言説があるみたいですが、法的には同列です。
二次創作物の頒布等は基本的に犯罪です。訴えられたらどうとか、そういう以前の話です。
(もっとも、私はこういう規制は厳しすぎるし、ファンアートは素晴らしい文化なので、これに一定の配慮をする必要もあると思います。緩和する立法をするか、それがないのであれば、ぜひ、権利者は、二次創作ガイドラインを策定してほしいと思います。)

法律デマについては、しばしばネットで発信してきましたが、一定の傾向があるようです。

それは「悪い奴を懲らしめる」という場面で、単純明快で、形式的な行為をすれば、それで解決する、というものが、かなりウケがいいようです。

もちろん、これさえすれば、形式的な対処で万病が治る治療法がないことと同じく、法律問題についても全く同じことがいえます。

他者からの権利侵害など、法律問題でお悩みの方は、ぜひ、ネットの法律デマではなく、実際に弁護士に相談することをお勧めします。 

標記の件は,大きな話題を呼んでいるようですが,ここらで,誤導にあたる情報や,法律デマについてまとめてみたいと思います。

ネット上をいろいろ検索して,出る順でかき集めたものですので,概ね網羅できていると思います。
デマというより誤解を招きかねない,というレベルのものもあります。

ここでは,あえて一々理由は書きません(分かる人はすぐ分かりますし,分からない人は,弁護士にすぐに相談したほうがいいケースだからです。)。

法科大学院学生,司法修習生の方は,それぞれ「何故ダメか?」ということを,考えてみると面白いかも知れません(といっても,一部は,考えるまでもなく分からないと困りますが。)。

1.訴状は無視すればOK
2.訴状は受け取らなければOK
3.自分が請求書を書いたわけではないといえば証明責任で勝てる
4.お金が無いから大丈夫
5.数百人居るから頭割りで数百円
6.懲戒請求は権利だから大丈夫
7.懲戒請求はだれでもできるんだから責任は問われないはず
8.過去に呼びかけた例で請求棄却の判例があるから大丈夫
9.懲戒請求者の情報が対象弁護士に漏れている!これは個人情報保護法違反
だ!だから(?)大丈夫!
10.署名集めで他人の名前を使うことはよくある!だから,家族名義でも(?)大丈夫!
11.一括処理(?)されたらしいから(?),大丈夫!
12.なんか,懲戒委員会に事案の審査を求めない,ってきたから,自分は大丈夫!請求書の写しも弁護士には行っていないだろう!
13.不当かどうかは判決が出て決まることだからほっといて大丈夫!
14.これはSLAPP訴訟だ!だから(?)大丈夫!
15.弁護士が弁護士法3条1項以外の仕事をすると法律違反だから,懲戒請求は大丈夫。
16.「勝手に名前を使われた。知らない。」といえば大丈夫。
17.綱紀委員会が審査をしたのだから,正当だ!
18.綱紀委員会が懲戒委員会に事案の審査を求めない,という決定をしたのだから,被害は無い!
19.弁護士会が不当な懲戒請求だと認定をしたわけではないので,問題ない!
20.和解の提案に応じない場合は訴訟を行う,という通知は,全て脅迫!
21.移送申立てをすれば大丈夫。原告は手も足も出ない。
(最近追加)
22.賠償を命じる判決があったが,欠席判決だった。だから,これは懲戒請求の違法性を認めたものではないので,大丈夫!

以前,「こいつは悪い奴!拡散希望!」という記事でも解説しました。

こういうことは,以前から散見されますが,不法行為になる可能性が高い行為です。

それにもかかわらず,紛争当事者が紛争について一般公衆に,あるいは,相手方の家族や勤務先,学校等に紛争の事実を伝えるということが少なくないようです。

では,なぜ,こういう行為が横行するのでしょうか?

こればかりは,想像の範疇になりますが,①正しい自分が正しい結果を得るためだから許される(目的が手段を正当化),あるいは,②裁判は公開されているので,第三者に知らせるのも問題ないだろう(問題の誤解による混同),というような発想があるように見受けられます。

しかし,冷静になって考えてみれば,これらはいずれも誤りであり,それは簡単に想像のつくことです

わかりやすい例を挙げてみると,よく分かると思います。

例えば,消費者金融から借りた金を返さない債務者がいるとします
消費者金融は,もちろん債権者として債務者から金銭を回収する権利がありますし,返還請求の裁判をすれば,それは公開法廷で行われることになります。

ですが,だからといって,昔のドラマに出てきそうなシーンですが,その人の玄関に,「金返せ」と張り紙をするとか,勤務先に,「おたくで働いているYさん,借りた金を返さないんだけれども,どうにかしてください」と電話するとか,その子どもが通う学校に知らせるとか,そういった行為はいずれも不法行為であることは,容易に想像できると思います。

これらの行為については,不法行為責任が認められた裁判例もありますし,これを援助助長した弁護士に弁護士会の処分が下されたケースもあります

冷静になって考えてみればわかるのに,なぜ安易にこんな不法行為に及んでしまうのか

それは,やはり紛争の持つプレッシャー,紛争が人を感情的にさせてしまう,ということが大きな原因ではないかと思います。

だからこそ,紛争については弁護士や認定司法書士に依頼をするとか,少なくとも,それらから客観的なアドバイスを受け,かつ,それに冷静に従うようにすることが重要であるといえるでしょう。

簡易裁判所と少額訴訟手続について,用語が創作されたり,概念がごっちゃな例がありますので,すこし整理してみました。
※少し追記しました。

まとめ

①簡易裁判所は裁判所の一つの種類で,民事裁判では140万円以下の事件を扱う。
②簡易裁判所行う手続の中で,「少額訴訟」というものがある。
③「少額訴訟」は,簡易裁判所で,60万円以下の事件について,希望すれば行える簡易迅速な手続である。
④「簡易裁判」という制度はないし,「略式裁判」というのは,おそらく他制度と混同した表現である。
⑤本人訴訟を簡単にやるための手続ではない。

解説

裁判所には,いろいろな種類がありますが,その中でも,民事では少額(140万円以下)の事件を扱う裁判所が,簡易裁判所です(なお,簡易裁判所ではこれ以外の事件も扱います。念のため。)。

簡易裁判所での裁判は,若干の特例はありますが,基本的には地方裁判所で行う通常の裁判と同様に行われます(法律上の例外はそれなりにあるのですが,実務上の扱いは地方裁判所とあまりかわりません。)。

簡易裁判所では,更に60万円以下の金銭請求について「少額訴訟」という簡易な手続を利用することができます。原則として1回の期日で終了するなど,様々な特例があります。

つまり,簡易裁判所では,140万円以下の裁判を扱うが,手続は地方裁判所はあまり変わらないのが原則である。少額訴訟という手続も使えるが,こちらは60万円以下で,それを利用する手続は別に必要,ということになります。

このあたり,インターネット上の法律情報では,簡易裁判とか簡易訴訟とか,略式裁判(刑事事件で略式命令請求という手続はありますが)とか,用語や概念がごっちゃになっています。

ですが,要するに,簡易裁判所が担当する裁判は140万円まで,さらに,60万円までの裁判で希望があれば,少額訴訟という特別で簡単な手続がある,ということにまとめられます。

法律には類似の名前があったり,よくインターネット上の法律情報では勘違いされるところなので,注意が必要です。

更に,昔から一部では,少額訴訟は,本人訴訟を簡単にやる手続だと勘違いされています。そういう制度趣旨もあることは否定しませんが,基本的に,一期日で,しかも即時に調べられる証拠に限定されますので,準備も大変です。
また,少額訴訟は,被告が異議を述べれば直ちに通常訴訟に移行するので,これを当て込むこともできません。
少額訴訟は,本人訴訟のための魔法の杖ではありませんので,この点は間違えないようにしましょう。

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