弁護士 深澤諭史のブログ

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タグ:本人訴訟支援

本人訴訟支援をするケースの場合、支援の中心的内容は、書面の作成になります。

この場合、原告被告本人つまり当事者が、書面の内容を十分に理解していないケースも散見されますが、それは、非常にリスクがあるといえます。

裁判所に出す書面というのは、訴訟記録として綴られます。また、自分に不利な内容を含む場合、それは、ほとんどの場合は非常に信用できる情報として、そのまま不利に利用されてしまいます。

一種の契約書のようなものです。他人が書いた契約書を理解しないまま、署名して提出することは、恐ろしい行為です。通常のサービスの場合とことなり、約款とか定型とか、消費者契約法の保護もありません。

もし、代理人を立てずに出廷するのであれば、書面の内容を理解し、自分に万が一にも不利な内容がないということを、確認して、十分な理解をして提出するべきでしょう。

また、書面の内容について尋ねられた場合、期日後に「本人訴訟支援する先生」に尋ねようと、あとで答える、書面で答える、と、安易に述べることも禁物です。

そのことは、書面の内容を理解していない、すなわち、書面の内容に確信を持っていないということで、主張内容の信用性に疑問を抱かせます。今後の裁判で不利になりかねません。

あなたは代理人ではありません。他ならぬ本人です。ですから、本人に確認する、ということもいえません。それを肝に銘じましょう。

また、あとで主張をする、という事実も裁判の資料となりえます。法廷では、書記官が記録のために録音をしていることもあり、当たり前のことをすぐに答えられない、という事実は残ってしまいます。これが、弁論の全趣旨ということで、不利な材料として使われる可能性も十分にあります。

書面を書いてもらって、それで自分は理解していない、あとで答えればいい、これは、裁判では通用しないこともある、非常にリスクのある行為だと理解するべきです。
 

まとめ
①  本人訴訟支援とは,弁護士等代理人をつけない本人訴訟において,書面作成や相談等のサポートをすることをいう。
②  本人訴訟支援は資格がないとできない
③  本人訴訟支援は,弁護士と司法書士が行える。
④  司法書士が行える本人訴訟支援は,言い分の整理や形式的な手続の助言等に限られる。それを超えるときは,自分の裁判上の行為が無効と判断され,却下判決や反論無しということで敗訴するリスクがある。
⑤  弁護士や認定司法書士(ただし,簡裁における手続に限る。)による本人訴訟支援は,④の制限がない

解説
本人訴訟支援」というサービスがあります。
本人訴訟とは,訴訟を,弁護士や認定司法書士(司法書士の中でも特別な資格を得た司法書士で140万円以内の事件について,簡易裁判所で訴訟代理したり,あるいは裁判外で交渉代理ができます。)に依頼せずに行うことをいいます
「本人訴訟支援」とは,本人訴訟について,主に書類作成やそれに関する相談を行うサービスをいいます。

さて,本人訴訟支援は,訴訟という法律事件について,意見を述べるという鑑定や,書類を作成して訴訟法上の法律効果を発生変更したり,保全明確化するので法律事務にあたります。ですから,弁護士法72条本文の適用があります
したがって,(業務として報酬目的での)本人訴訟支援は,無資格で行うことはできません
弁護士資格以外であれば,司法書士の資格があれば,本人訴訟支援をすることができます(ただし,以下に述べる範囲の制限があります。)。
司法書士は,裁判所に提出する書類の作成業務とそれに関する相談を行うことができますので,本人訴訟支援を行うことができます。
なお,たまに勘違いがありますが,司法書士の裁判書類作成業務は,審級や訴額の制限がありません。ですから,簡易裁判所だけではなく,地方裁判所や高等裁判所,最高裁判所への提出書類の作成業務も可能です。

それでは,司法書士の本人訴訟支援の範囲はどのようなものでしょうか?法廷に立たない,代理をしない,形式的に本人の名義での書類であれば,いかなる相談,支援もできるのでしょうか
いいえ,そうではありません。これについては,「司法書士・行政書士の書類作成業務の範囲について」で解説したとおりです。つまり,誤解を招かない程度に言い分を整理して書類にする,直す行為が可能であり,かつ,それに限られ,専門的法律知識を用いて何か内容を提案をしたり,あるいは判断を提供したりする行為は含まれない,ということになります。

それを超えた場合,どのような扱いになるでしょうか。その場合は非弁行為という扱いになりますので,裁判上の効果は無効と扱われる可能性があります。
裁判所は,訴え提起が無効であるとして却下判決をすることができますし,そのような先例もあります。また,被告側であれば,反論が無効ということで,反論無しとみなされて,敗訴することもあるでしょう。
また,相手方はそれについて指摘するでしょうし,紛争と関係のないところでリスクを負う,弱みを抱えることになります。
ですから,司法書士による本人訴訟支援を利用するのは,自分の言い分が決まっているので,それを整理して欲しいだけである,専門的な判断は要らない,大丈夫であるという自信がある場合に限るべきでしょう。要するに,手続や形式面でだけの助言が欲しい,あとは書面を整理して欲しいという場合にだけ利用するべきということになります

それを超えて,自分の希望を実現するよりよい方法,すべき主張や証拠の助言や専門的法的な判断,助言が欲しい場合は,弁護士か認定司法書士(ただし訴額が決まっており,かつ,それが140万円以内の場合)に相談をするべきであるということになります。

その際,そもそも本人訴訟支援を利用することの適否についても,助言が得られると思います。

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