弁護士 深澤諭史のブログ

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タグ:弁護士法72条

一見して非弁該当性に注意が必要な,ひょっとしたら非弁になるかも知れない業態において,非弁ではない,弁護士にも相談した,などと標榜している業者が多数あります。

もちろん,本当に非弁ではないのか,それとも非弁なのか,簡単に一律に判断する方法はありません。
ですが,その宣伝文句の節々から,注意すべきケースというものは見えてくることもあると思います。

1.ろくに理由無しに非弁ではないという業者に注意!
まず第1に注意をすべきなのは,ろくに理由を付けずに非弁ではない,と言い切っているだけというものです。
そもそも,非弁に当たるかどうかということは,事業者の事業継続にとって重大事です。さらに,利用者にとっても,非弁業者に依頼をした場合,「相手方」との間でトラブルになる,逆に交渉上不利になるなど重大な不利益を被ります。場合によっては,その「相手方」から逆に損害賠償を請求される可能性もあります。非弁行為という犯罪行為,違法行為を依頼して「相手方」に仕掛けたのですから,やむを得ないことでしょう
そんなお互いにとって重要なことを,ろくに理由も書かないで記載していること自体,あまり合理性がない,信用するには慎重になったほうがいいといえます。

2.交渉しない,代理しないから非弁ではないというずさんな理由付け
交渉はしない,代理はしない,だから非弁ではない,という程度の理由付けも注意が必要です。
非弁行為について定めた弁護士法72条が,非弁として定めている行為類型は,代理とか交渉だけではありません。「凶器を使わなければ殺人にならない」といっているような表現であるともいえます。
弁護士法72条をちゃんと読んで理由付けを考えているのか,やや不安に思える表現でしょう。また,そういうずさんな理由付けだと,肝心の業務のクオリティにも不安を覚えてしまう可能性もあります。

3.「名無しの弁護士が大丈夫といっていた!」は大丈夫ではない
(顧問)弁護士に相談をした,確認をした,というのも注意が必要です。
そうであれば,ちゃんと弁護士名を表示するべきでしょう。そもそも弁護士としての経験上,「名前をいわない,いえない弁護士が●●といっていた。」という場合,その弁護士とやらが実在するのか相当に怪しいことがほとんどです(というか,経験上,実際にいた試しがほとんどありません。)。
このあたりは,上記したとおり,業者にとってもその利用者にとっても,非常に大事な問題なのですから,名前を出さない,出せない,名無しの権兵衛弁護士の意見だけだして,さあ安心しろ,というのは,信用性に相当の疑義が生じうるのではないか,と思います。

4.「弁護士を紹介します」は破滅への片道切符になるかも
加えて,紛争,トラブルになったら弁護士を紹介するだの,専門家ネットワーク(?)を標榜するケースもあるようですが,これも非常にリスクがあります。
弁護士の紹介については,非常に厳格な規制が課せられています。紹介者が厳密には弁護士法72条に違反していなくても,それよりもはるかに厳重な弁護士職務基本規程(弁護士だけに適用されるルール)には違反する可能性があります
有料で契約をしている人のために弁護士を紹介する,というサービスを実施した場合,非弁提携という弁護士が非弁護士と許されない提携関係を持つという違法行為になっている可能性も十分指摘出来ます
以前解説したように「非弁提携とは?~利用者も弁護士も破滅する恐ろしい犯罪~」ということは絶対に忘れないで下さい。

5.「非弁にご注意を!」こそご注意を!
非弁行為をしている,更に特に非弁提携をしている業者は,自己への誘導,宣伝文句として,非弁にご注意を!などというケースがあります。
信用させようとするテクニックなのでしょうが,1から4の点の注意点は共通しますし,これらを満たしていないことが多いのではないかと思います。
また,非弁提携業者が,こういうことをいうケースも多々あります
非弁護士が弁護士業を行う非弁行為はもちろんですが,弁護士が非弁護士と提携する非弁提携は,同じか,それ以上に利用者の不利益が大きいものです。逆に,そういう言葉にこそ注意をするべきかも知れません。

6.まとめ:「紋切り型,交渉代理でないから大丈夫,匿名弁護士はOK!」には要注意!
まとめると,非弁ではないとろくに理由なしでいう,交渉や代理はしないから非弁ではないと言い張る,匿名弁護士の太鼓判,これらはいずれも相当に怪しいと思います。

運転免許がないと自動車を運転できないように,医師免許がないと医業ができないように,弁護士資格がないと弁護士業務をすることはできません。
 
ところが,無免許運転が今でもなくならないように,弁護士資格がないにもかかわらず,弁護士業務を行う例が後を絶ちません。弁護士業務を違法に無資格で行うことを「非弁行為」あるいは単に「非弁」といいます。
 
ここでは,非弁について,簡単な説明をします。
 
まとめ
 
①弁護士資格がないと弁護士業務が出来ない。
②「非弁」「非弁行為」とは,弁護士資格がないのに弁護士業務を行うこと
③非弁行為は犯罪であるし,頼んだ行為が「無効」にされたり,疑義を差し挟まれるなどトラブルの原因になる。
④弁護士業務(法律事務)のうち,一部の業務は,司法書士や税理士等の有資格者でも行える。
⑤書面作成だから,代行だから非弁ではない,というのは間違い。
 
1.非弁とは
 
非弁とは,弁護士資格がないにもかかわらず,弁護士業務を行うことをいいます。非弁行為ともいいます。
また,弁護士が,こういう無資格者に協力をすることもあります。弁護士が非弁行為のために名義を貸す等することを「非弁提携」といいます
 
2.弁護士業務とは
 
弁護士でないと行えない弁護士業務の内容は,弁護士法72条本文に定められています。
それによると「法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務」と定められています。
大雑把にいうと,他人の具体的な事件,案件に関する「法律事務」であり,この中には,代理して交渉をするとか,法律相談に乗るとか,法的な文書を作成するとか,そういった行為等が含まれます(自分の法律事務を自分で取り扱うことは,もちろん問題はありません。保険会社が示談代行できるのは,あくまで保険会社は自分自身の保険金支払いに関する法律事件を扱っているからです。)。

なお,他に報酬目的,業務性などの要件もあり,また,いわゆる「事件性(?)」の議論もありますが,かなり細かい・専門的な話になりますので,今回は省きます。
また,司法書士・税理士等の資格があれば,弁護士法の例外として,その資格の範囲内で法律事務が取り扱えます
 
3.なぜ非弁行為が流行るのか
 
運転免許における運転や医師免許における医業等ほどには,他人の事件について行う法律事務には資格が必要である,という意識がさほど浸透していない,ということが主な理由だと思います。
 
また,イメージの問題ですが,弁護士は敷居が高い,料金が高い,というような理由から敬遠され,あるいはそうであると宣伝する業者が,「うちは安いですよ」というように勧誘する例が多いようです。実際には,むしろ,弁護士より高額であるケースがほとんどです
 
4.非弁行為を依頼するとどうなるか
 
非弁行為そのものは犯罪です。無免許運転が犯罪であることと同じことです。ただし,依頼者側では,非弁行為を依頼しただけでは,通常は直ちに犯罪が成立しないとされています。
 
もっとも,非弁業者に依頼して行った行為,契約は,事後的に無効と判断されるリスクがあります。また,仮に有効であるとしても,法的知識等について資格の裏付けがない者が関与している以上,解決に結びつかない,あるいは,内容において不利になるなどリスクもあります。
 
また,私の経験上,そもそも非弁業者の「料金」は,弁護士より高いか,少なくとも,広告内容と実際にやってくれることの一致がなく,「高くつく」ことがほとんどです。この点で,非弁行為の問題は,消費者被害の問題であるといえます。
 
5.「非弁ではない」という主張もあるが・・・
 
中には,これは書面作成である,代行に過ぎないから,非弁ではない,という主張がなされることもあります。
しかしながら,書面作成だから,代行だから,非弁行為になる/ならない,という解釈は,裁判例上も,実務上もとられていません。だから理由にならないのです。
法律上は,「法律事務」と定められており,これには代理が含まれますが,代理でなければ法律事務ではない,とももちろんいえません
 
もちろん,非弁行為にならないような書面作成や代行もあり得ます。
ですが,裁判例では,インターネット掲示板の管理者に投稿の削除を請求する行為や,債権の取立てや交渉のみならず,支払いを受け取ったり,登記の手続きといった,かなり形式的な行為も法律事務であるとしています
そうすると,法的な事項について,書面作成やなにかの通知の代行を行う場合,アドバイス等,依頼者に言われたことをそのまま伝える以上のことをすると,非弁行為に該当する可能性が高いのではないかと思います。

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