お酒にも上手な、美味しく飲む方法があるように、弁護士にも上手な使い方とそうでない使い方があります。

とくに弁護士サービスの品質というのは、提供者である弁護士のみならず、その利用者の対応にも大きく依存します。どんなすごい弁護士でも、協力ができない依頼者では良い結果はでません。逆もまた然りです。

また、事件としては見通しがよくても、弁護士は、依頼者との信頼関係が維持できないとなると、やはり受任をためらいます。「弁護士が見つからない」ケースのある程度は、これが含まれるのではないかと思います。

そこで、今回は、弁護士のトリセツ(取扱説明書)ということで、法律相談のとき、うまく弁護士を使いこなすコツについて、すこし説明をしたいと思います。 

1.資料は持参しましょう。
多くの場合、証拠として重要なものがあります。
基本的なことですが、これができない方もすくなくありません。

2.あなたが送った書類のコピー、あるいはそれがわかるものは持参するか、説明しましょう。
意外とこれがない方も多いです。
事実認定のルールとして、自分にとって不利なことを認めた場合は、その事実はそのまま真実であると扱われる可能性が高いです。これは、わざわざ不利な嘘をつく人はいない、という経験則(常識)からの帰結です。
今後に重大な影響を及ぼすことがありますので、是非、持参するか、それがわかるようにしてください。

3.相手方から届いた書類も持参しましょう。
届いた訴状を握りしめたまま相談を続ける方もいらっしゃいます。
ですが、相手の言い分は、紛争において最重要です。
また、中には「嘘ばかり書いてあるから見せたくない。」というお気持ちの方もいらっしゃいます。
ですが、嘘はつかれっぱなしでは、裁判では真実になってしまうかもしれません。
ですから、是非、見せてください。

4.弁護士からの質問には端的に答えられるとスムーズです
たとえば、弁護士から、相手方に貸した金額を聞かれたとします。
この場合、100万円であれば100万円と答えるべきです。ですが、中には、金額を聞いているのに、その人がいかに嘘つきで悪いやつか、ということばかり延々とお話になる方もいらっしゃいます。
もちろん、そういうお気持ちは尊重されるべきです。ですが、それでは、希望はかないません。是非、聞かれた内容に端的に答え、お気持ちについては、その後に加えていただければと思います。

5.時系列があればグッドです。
ご自身で事情を整理した、時系列のようなメモがあれば非常に有益です。
もちろん、なかなかうまくできないですし、大変なこともあると思います。必須ではありません。
ですが、これができる相談者は強いつまり勝てる相談者であることが多いです。
また、これを作成することで、記憶が整理され、記憶があやふやで裁判所に信用されないというリスクも減らすことができます。
是非、検討してみてください。