弁護士 深澤諭史のブログ

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タグ:代行

よく、交渉すると非弁になるから、交渉しない。
やっていることは、意思を代わりに伝える、 代行するだけだから非弁ではない、というような言説を見かけます。

もし、代行、代わって意思を伝えるだけであれば、例えば、「代わりに借金を返して欲しいと伝える。借金の請求を代行します。」という事業も非弁ではない、ということになります。

そうなると、高額な資本金を積んだり、いろいろと人的整備をして債権回収業の許可を得る必要もなくなる、サービサー法自体が空文化しますよね・・・。

立法とも矛盾して破綻している論法だと思うのですが、いかがでしょうか。 

非弁に関する記事がたまってきたので、カテゴリを独立させました。

ちょっと忙しくて、なかなか記事ができていませんが、非弁について、代理すると、交渉すると非弁になるから、しない、というような言説があります。

この辺り、一部は正しいといえばそうなのですが、一方で正しくない、あるいは誤導になってしまう、という側面もあります。

ということで、その点について、解説をする予定です。 

非弁行為該当性が疑われるサービスについて,「廉価(安価)であると非弁リスクがある」等の言説が存在するようです

まず,前提として,非弁行為は報酬目的性が必要ですが,基本的にその多寡は問いません。また,第三者から得る場合でも,実際に得る必要はありません。

ですから,報酬が高いから安いからといって,非弁リスクが変動することは原則としてありません

もっとも,事実上の問題として,報酬の多寡と非弁リスクが連動をする事があります。
それは,意外にも「報酬が高いと非弁リスクがあがるということではないかと思っています。

ある事業で提供しているサービスが非弁に該当するかどうかという問題は,要するに,そのサービスが,弁護士法72条本文にいう,法律事件に関する法律事務に該当するかどうか,という問題です。

報酬の多寡と法律事務に該当するかは,一見して別問題です。すくなくとも法律上,形式的には関係がありません。

ですが事実上の問題として,報酬というのは,そのサービスの難易度,分量,コストに応じて設定されるものです。そのサービス提供に高度の技術が必要とされるとか,分量が多いとか,それらは,報酬が高く設定される要因となります。

一方で,法律事務に該当する行為は,広範に及びますが,裁量を委ねられて「代理」して交渉をするとか,専門的法律知識に基づいて判断を提供して「鑑定」するとか,あるいは,法律効果を発生させたり,それを保全して明確化する(=その他の法律事務)行為と考えられています。

これらは,どれも相当の専門知識,技術が要求される行為ですので,それを提供するコストは相当なものになり,必然的に相当な報酬が設定される可能性が高くなります。

これを逆の方向,つまりサービスから報酬を設定するのではなく,報酬からサービスを推定してみると次のことがいえるかもしれません。
つまり,報酬が高額であれば,法律事務に該当するような行為を行っている,すなわち非弁行為に該当する行為を行っていることが推定されます。

たとえば,数千円や,1万円2万円程度(この数字は,提供サービスの性質にも依存するでしょう。)ではなく,それを超える費用が設定されている場合,言い分をそのまま,あるいは,当初設定した言い分から選んでもらって転送つまり「代行」する程度であるとは,通常は考えがたいと思います。必要な労力に比して,費用が高いと考えられるからです。

その金額に見合う程度の,「鑑定」や法律事務が行われているのではないか,という疑いが必然的に生じることになります。もちろん,これを覆す別の事情があればそうではありませんが,それがないと疑いは生じるであろう,ということです。

そういうわけで,法的,形式的には報酬の多寡と非弁行為該当性は直接につながりませんが,事実上,これが高いと非弁行為になるリスクは高くなるのではないか,と思います。 

非弁行為について,よくある誤解をまとめてみました。

なお,他に「非弁行為とは?:書面作成/代行だから非弁ではない!?」でも解説しています。

よく,「●●だから非弁ではない」という主張がありますが,その●●全てが非弁になるわけではない≠●●であれば非弁ではない,という理論的関係があります。
このあたり,あえて誤解を招くような宣伝をしているケースもあるので,簡単に説明します。

①代行・使者だから非弁ではない
代行や使者であっても,その代行に至るまでの間に,法律関係を明確化するための作業や,法的評価,見解を明らかにする「鑑定」などの法律事務が含まれれば,非弁行為になり得ます。

②交渉・代理していないから非弁ではない
非弁行為になる法律事務には,代理が含まれますが,代理以外の鑑定や一般の法律事務も含まれます
代理をしている場合,多くの場合は非弁行為になりますが,代理していないからといって,非弁行為にならないというわけではありません
「法律顧問」という肩書きで,交渉等を一切しなくても,相談助言という,鑑定・法律事務を行っているのであれば,非弁行為になります。

③定額だから非弁(提携)ではない
これは,非弁提携(弁護士が非弁護士と提携をする,依頼者の紹介を受ける等)でもよくいわれるのですが,報酬が定額であるとか,会費名目であるからということは,非弁行為,非弁提携を否定する事情にはなりません
むしろ,最近の非弁提携では,会費等の別名目で定額にして誤魔化すケースが多数です。

④書面作成だから,非弁ではない
書面作成であっても,弁護士法72条本文の法律事務に該当するなら,非弁行為になり得ます
なお,司法書士等の他士業の資格があれば,その他士業の資格の範囲であれば法律事務が一部取り扱えます。
他士業の資格については,書面作成が認められているケースが多いのですが,この場合の書面作成とは,言い分を法的に整理して,文書の受け取り人が誤解しない程度にする,という程度の関与しか認められていません。要するに言い分をそのまま整理するだけであり,有利な主張,証拠を検討・提案するといった行為は認められないのが原則です。
このような書面作成型の非弁行為については,事後的に,その書面でなした行為が無効と判断されて,取り返しの付かない被害が生じていることもあるので,利用者としては,注意が必要です。

⑤カタカナ語なので非弁ではない
論外の主張ですが,最近は,意識高い系非弁・非弁提携というべきようなケースも散見されますので,カタカナ語にまどわされないことが大事です。

運転免許がないと自動車を運転できないように,医師免許がないと医業ができないように,弁護士資格がないと弁護士業務をすることはできません。
 
ところが,無免許運転が今でもなくならないように,弁護士資格がないにもかかわらず,弁護士業務を行う例が後を絶ちません。弁護士業務を違法に無資格で行うことを「非弁行為」あるいは単に「非弁」といいます。
 
ここでは,非弁について,簡単な説明をします。
 
まとめ
 
①弁護士資格がないと弁護士業務が出来ない。
②「非弁」「非弁行為」とは,弁護士資格がないのに弁護士業務を行うこと
③非弁行為は犯罪であるし,頼んだ行為が「無効」にされたり,疑義を差し挟まれるなどトラブルの原因になる。
④弁護士業務(法律事務)のうち,一部の業務は,司法書士や税理士等の有資格者でも行える。
⑤書面作成だから,代行だから非弁ではない,というのは間違い。
 
1.非弁とは
 
非弁とは,弁護士資格がないにもかかわらず,弁護士業務を行うことをいいます。非弁行為ともいいます。
また,弁護士が,こういう無資格者に協力をすることもあります。弁護士が非弁行為のために名義を貸す等することを「非弁提携」といいます
 
2.弁護士業務とは
 
弁護士でないと行えない弁護士業務の内容は,弁護士法72条本文に定められています。
それによると「法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務」と定められています。
大雑把にいうと,他人の具体的な事件,案件に関する「法律事務」であり,この中には,代理して交渉をするとか,法律相談に乗るとか,法的な文書を作成するとか,そういった行為等が含まれます(自分の法律事務を自分で取り扱うことは,もちろん問題はありません。保険会社が示談代行できるのは,あくまで保険会社は自分自身の保険金支払いに関する法律事件を扱っているからです。)。

なお,他に報酬目的,業務性などの要件もあり,また,いわゆる「事件性(?)」の議論もありますが,かなり細かい・専門的な話になりますので,今回は省きます。
また,司法書士・税理士等の資格があれば,弁護士法の例外として,その資格の範囲内で法律事務が取り扱えます
 
3.なぜ非弁行為が流行るのか
 
運転免許における運転や医師免許における医業等ほどには,他人の事件について行う法律事務には資格が必要である,という意識がさほど浸透していない,ということが主な理由だと思います。
 
また,イメージの問題ですが,弁護士は敷居が高い,料金が高い,というような理由から敬遠され,あるいはそうであると宣伝する業者が,「うちは安いですよ」というように勧誘する例が多いようです。実際には,むしろ,弁護士より高額であるケースがほとんどです
 
4.非弁行為を依頼するとどうなるか
 
非弁行為そのものは犯罪です。無免許運転が犯罪であることと同じことです。ただし,依頼者側では,非弁行為を依頼しただけでは,通常は直ちに犯罪が成立しないとされています。
 
もっとも,非弁業者に依頼して行った行為,契約は,事後的に無効と判断されるリスクがあります。また,仮に有効であるとしても,法的知識等について資格の裏付けがない者が関与している以上,解決に結びつかない,あるいは,内容において不利になるなどリスクもあります。
 
また,私の経験上,そもそも非弁業者の「料金」は,弁護士より高いか,少なくとも,広告内容と実際にやってくれることの一致がなく,「高くつく」ことがほとんどです。この点で,非弁行為の問題は,消費者被害の問題であるといえます。
 
5.「非弁ではない」という主張もあるが・・・
 
中には,これは書面作成である,代行に過ぎないから,非弁ではない,という主張がなされることもあります。
しかしながら,書面作成だから,代行だから,非弁行為になる/ならない,という解釈は,裁判例上も,実務上もとられていません。だから理由にならないのです。
法律上は,「法律事務」と定められており,これには代理が含まれますが,代理でなければ法律事務ではない,とももちろんいえません
 
もちろん,非弁行為にならないような書面作成や代行もあり得ます。
ですが,裁判例では,インターネット掲示板の管理者に投稿の削除を請求する行為や,債権の取立てや交渉のみならず,支払いを受け取ったり,登記の手続きといった,かなり形式的な行為も法律事務であるとしています
そうすると,法的な事項について,書面作成やなにかの通知の代行を行う場合,アドバイス等,依頼者に言われたことをそのまま伝える以上のことをすると,非弁行為に該当する可能性が高いのではないかと思います。

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