弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは, i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

カテゴリ: 専門家向け

月刊弁護士ドットコムという弁護士ドットコム社が刊行している弁護士向けの雑誌があります。

弁護士には毎号無料で送付されているのですが、これの39号「実務キャッチアップ」に、当職の解説記事が掲載されました。

テーマは、偶然のタイミングですが、今話題の非弁提携です。

騙されやすいポイントを解説していますので、是非、ご覧ください。


今回は,最高裁判決の解説です。子どもの事件等を積極的に取り扱う淺井健人弁護士(東京弁護士会)からの寄稿です。

(・∀・)いつもながらわかりやすいですね。

平成30年10月19日、共同相続人間でなされた相続分の無償譲渡は、原則として特別受益にあたるとする最高裁判例が出ました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/060/088060_hanrei.pdf)。
今回は、この判例について、解説していきます。


Ⅰ 事案の概要
fig-1

1 B死亡(Bの相続人は、X、Y、A、C、D。Bは複数の土地建物、預貯金等を有する資産家。)。

2 Bの遺産分割がなされる前に、A、DはBの相続分をYに譲渡
3 Aは全財産をYに相続させる遺言を作成。
4 Bの遺産分割調停成立。
5 A死亡(Aの財産は死亡時、ほとんどなく、債務超過であった。Aの相続人はX、Y、C、D。)。
6 XはYに対し、Aの相続に関して遺留分減殺請求権を行使。


Ⅱ 判旨
①共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、
②譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き
上記譲渡をした者の相続において, 民法903条1項に規定する「贈与」に当たる


Ⅲ 解説
1 遺留分
 遺言によって、特定の人にすべての財産を相続させるとされた場合であっても、一定の法定相続人には、法定相続分の一部が保障されています。
 具体的には、兄弟姉妹以外には、法定相続分の2分の1が遺留分として保障されています。
 法定相続分は、以下のとおりとされています。

①配偶者と子どもが相続人の場合は、それぞれ2分の1(子どもが複数いる場合は2分の1を人数で割る。非嫡出子がいる場合であっても、平成25年9月5日以降の相続では等分。)。
②子どもがおらず、配偶者と亡くなった方の直系尊属(父母など)が相続人の場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1(直系尊属が複数いる場合は3分の1を人数で割る)。
③子どもも直系尊属もおらず、配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人の場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1(兄弟姉妹が複数いる場合、原則、4分の1を人数で割る。父母の一方のみが同じ兄弟姉妹の相続分は父母の双方が同じ兄弟姉妹の相続分の2分の1。)


2 本件について
 本件は、
①資産家であるBが亡くなる前に、Yの妻をA・Bの養子としてDがBの財産を相続できるようにし、
②Bが亡くなった後、A、Dが相続分をYに無償譲渡し、
③Aの全財産についてもYが相続するよう遺言をしている
ことから、資産家であるBの財産をなるべくYに承継させるように、専門家に相談したうえでスキームを組んだものと考えられます。
 相続分を無償譲渡するという方法は、原審では特別受益にはあたらないとされていたものであり、また、下級審でも特別受益にあたるかどうか判断がわかれていました。
 しかし、今後は、少なくとも、
①共同相続人間で②無償でされた③財産的価値のある相続分の譲渡については、特別受益にあるとされることから、このようなケースにあたっている方は弁護士に相談されることをおすすめします。

なお、相続分の譲渡が有償でなされた場合については、本判例では明らかにされていませんが、少なくとも、相続分の価値と比べて相当に低い金額で譲渡された場合は、特別受益にあたるとされる可能性が高いでしょう。
 なお、遺留分に関しては、信託を使って遺留分を消すという目的のもとに組成された信託につき、信託行為を違法であるとして取り消した裁判例(東京地裁平成30年9月12日)も出ているようです。信託の場合、信託行為設定の際に相当額の税金も支払っていることから、重大な損害が発生してしまいます。
 相続のスキームの組成は、遺留分減殺請求(相続法改正後は、遺留分侵害額請求)のリスクも十分に理解したうえでする必要があり、法の趣旨を十分に理解した専門家に依頼すべきでしょう。


Ⅲ 相続法改正との関係
 相続法の改正により、遺留分減殺請求や相続人に対する贈与(特別受益にあたるもの)は、以下のとおり改正されます。以下の改正は、2019年7月13日までに施行されます。
改正前は、
①共同相続人に対する贈与はすべての贈与を遺留分算定の基礎に算入する
②遺留分減殺請求がされた場合、原則は現物返還とされ共有状態となってしまうが、金銭で返還してもよい
とされていましたが、
改正後は、
①共同相続人に対する贈与は、相続開始前10年間にされた贈与に限って遺留分算定の基礎に算入する。ただし、加害の認識がある場合は、10年以上前にされた贈与であっても算入する。
②遺留分侵害額請求(改正前の遺留分減殺請求に相当)がされた場合、金銭債権のみが発生する
とされます。
 したがって、仮に相続分の譲渡が10年以上前になされ、贈与時の加害の認識を立証できなければ、遺留分の算定の基礎とはなりません。しかし、紛争予防の観点から、相当な財産的価値のある相続分の譲渡をする場合には、遺留分を侵害するおそれがないか慎重に検討しておき、加害の認識がなかったことを記録に残しておく必要があるでしょう。

今回は専門家,それも弁護士向けの話です。

非弁提携の不利益について,どれくらい知っているでしょうか?
非弁提携による不利益は,弁護士法27条違反による刑事罰や,弁護士会の懲戒処分だけではありません。

非弁提携業者が,経費名目で弁護士から吸い取っていく,しばしば依頼者の預かり金からも横領するということも,重大な損害です。莫大な債務を負担することになることも,珍しくありません。

親切そうな顔をして,おだてて近づいてくる,支援だの協力だのいっても,更にコラボだのコンサルだの,カタカナ語を駆使しても,非弁提携は非弁提携です。

最近の非弁提携業者は,平気で弁護士を使い捨てにします。自分こそが被害者だと主張することも珍しくありません。

非弁提携をしないことはもちろん,もし非弁提携の罠にかかってしまった,怪しいと思ったら,是非,少しでも早く弁護士会に相談をして下さい

早ければ早いほど,被害を小さく留めることができます。

今年2月に,共著でこういう本を出しました。

先を見通す捜査弁護術(第一法規)

弁護士向けの専門書で,捜査段階,つまり起訴されて裁判が始まる「前」までの刑事弁護について,いろいろな技術・知識を解説した書籍です。
刑事弁護の分野に限りませんが,意外と活字化されていないノウハウ,テクニックがありますので,その点に重点を置いて解説しました。書面の提出先といった形式的なところから,身柄解放や保釈のための準備などについても解説しています。

なお,私は,ちょっと変わったテーマですが,児童買春の事案をテーマに,「まだ捜査の手が及んでいない」「自首をするべきかどうか」「自首するならどうするべきか」ということを解説しています。
かなり取り扱いの多い分野ですが,あまり解説がないので,これまでの経験を盛り込んで解説をしました。

専門家向けとしては,こういう書籍を出していますので,よろしければ,参考にして下さい。

これって非弁提携?弁護士のための非弁対策Q&A
http://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/103074.html

法律事務の範囲,いわゆる事件性(?)の要件の問題,他士業との業際問題,弁護士会の負担金問題などなど,実務上,よく問題になる,あるいは疑問を抱く論点は,概ね網羅しているかと思います。

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