弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは,氏名住所を明記の上 i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

カテゴリ: 専門家向け


こんなことが話題になりました。
最近、そこそこ増えているんですよね・・。
依頼者との信頼関係を築くのって結構大変なんですが、手っ取り早いのが「威勢の良いこと」であって、それで依頼者アピールのために、ついつい恫喝的、もっというと違法な表現を盛り込んじゃったり。
そこまで行かなくても、これは危ない、ということは、よく目にします。
「相手方には弁護士が代理でついていない」と思って、下手な書面を送ると、弁護士と一緒に依頼者が炎上することになりますので、注意しないといけませんね。

ということで、この問題に触れた解説を、ある雑誌に掲載予定です(・∀・)

設題

Yらは、Aらに対して、ほぼ同様の方法、態様により不法行為(以下「本件不法行為」という。)を行った。
Yらは、不法行為の成立ないし損害の存在を争っている。
そこで、Aらは訴訟手続によりYらに損害賠償請求をすることとして、Aらを原告、Yらを被告とする訴訟(以下「本件訴訟」という。)を提起した。
本件訴訟は、Aらそれぞれが単独で提起するもの、共同するものなど、併合の仕方は一様ではない。しかし、本件不法行為の態様は、それぞれほぼ共通しており、本件訴訟の請求原因事実もまた、ほぼ同様である。
Xは、非弁護士であったが、本件訴訟の対応方法、と書面の雛形(当事者の名前を記入し、あるいは若干の追記をすれば本件訴訟の答弁書や準備書面等の主張書面として利用できる内容である。)を月額料金制で提供するサービス(以下「本件サービス」という。)を考案し、実施することとした。
Xは、本件サービスについて、本件訴訟について有益な情報、対応方法を提供するとインターネット上で宣伝をし、インターネット経由で誰でも契約ができるようにしたところ、Yらのうち、相当数が、本件サービスを利用した。

Xの行為は、弁護士法72条本文に違反するか。
なお、Xは、同条ただし書の適用を受けない(他士業等の資格を持っていない。)ものとする。
また、検討にあたっては、Xが、一般論を論じているだけで書籍の発売と同様である、あくまで情報提供をしているだけである、それに従う、参考にするかどうかはYらの任意に任せている、Xの名義ではなくてYらの名義で書面提出をさせており自らは代理していない、本件サービスはYらにとって有益な活動である、と主張して弁護士法72条本文には違反しないと反論している点についても触れるものとする。
加えて、本件サービスで提供される対応方法は、裁判実務とかけ離れており、また、書面の雛形の内容も、主張自体失当ないしYらにとって不利な事実の先行自白を多く含むなど、かえってYらにとって不利で、Aらにとって利益になる内容を含んでいた場合に結論に影響するかについても検討するものとする。

○弁護士法72条  弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

はじめに

なんらかの継続的契約を締結することで、助言等を受けることができる契約というのは、珍しくはありません。
弁護士の法律顧問契約はこの典型です。
また、非弁行為の関係で言えば、実際に、会員になると法律事務の提供を受けられるという仕組みについて、非弁行為の成立を認めた裁判例もあります。
いわゆる「指南」行為についても同様に裁判例があり、代理でない「指南」だから非弁行為にならない、という解釈は裁判例上も実務上も全く取られていません。
このような非弁行為は、インターネットの普及、法律知識の普及、決済システムの進化により、今後、増えていくことが予想されます。
今回は、以上を前提に、この設題について次の通りの検討を通じて解説しようと思います(なお、学生あるいは専門家向けの記事です。)。

設題の検討

1.非弁護士性、業務性、報酬目的性、周旋と取り扱いの別について
弁護士法72条本文の要件のうち、非弁護士性についてはXが弁護士でないことから明らかであり、報酬目的性については月額料金を収受していることから、業務性については広告を行いインターネットで誰でも契約ができるようにしていることから、これらの要件は優に満たす。
また、本件サービスはX自身が提供するものであるから、「周旋」ではなく「取り扱い」にあたる。

2.法律事件該当性について
1の他、本件では、本件サービスが、「訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関」するものといえる(法律事件該当性)かと、「鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務」といえる(法律事務該当性)かが問題になる。
まず、法律事件該当性について検討するに、本件においては、本件訴訟つまりAらのYらに対する損害賠償請求訴訟が係属しており、これに関して情報や書面等を提供するものである。
そうすると、本件サービスは、「訴訟事件…に関」するものであるといえる。
なお、この点について、Xは「一般論を論じているだけで書籍の発売と同様である」と主張する。
たしかに、特定の事件を離れて情報や書面を提供する行為は、書籍の販売と同様である。そして、弁護士法72条本文にいう「訴訟事件」「法律事件」は、同条が一般的な法律に関する解説、説明、書籍の販売までをも弁護士の独占業務にする趣旨とまでは解されないし、かような解釈は広きに失する。そうすると、「訴訟事件」「法律事件」とは特定の事件を指すところ、特定の事件を前提としない行為に弁護士法72条本文の適用はないというべきである。
しかしながら、本件において、Xは「本件訴訟について有益な情報、対応方法を提供する」と標榜し、提供する書面は、「当事者の名前を記入し、あるいは若干の追記をすれば本件訴訟の答弁書や準備書面等の主張書面として利用できる内容」である。そうすると、本件サービスは、一般的な民事訴訟の対応心得などを解説した書籍の販売とは同視できず、本件訴訟という特定の訴訟事件に関するものであるといえる。
また、Xは、どう利用するかはYの任意である、代理をしていないという反論もしている。しかしながら、訴訟事件に「関する」というのが要件であるところ、「関する」ものであればよく、直接的に関与することや、特定の関与形態まで要求するとは文理上解釈できず、以上の結論を左右しない。

3.法律事務該当性について
次に、法律事務該当性について検討するに、Xは自ら主張する通り、自らの名前で書面を作成して提出しているものではないので、代理に該当せず、また、仲裁にも該当する事情はない。
そこで、鑑定に該当するかどうかについて検討するに、鑑定とは、法律上の専門的知識に基づいて法律的見解を述べることをいう。
本件サービスは、訴訟への対応方法を解説するものである。訴訟への対応には、民事訴訟法等についての専門的知識に基づくことが必要であり、かつ、いかなる対応が適切かを述べることは、法律的見解を述べるといえるので、該当する。
また、「法律事務」は、新しく法律関係を変動させたり、あるいは明確化する行為をいうが、書面を提供することで、少なくとも訴訟法上の法律関係を変動させるし、また、訴訟行為が書面の形で明確化されるので、法律関係を明確化するといえる。
したがって、本件サービスは、鑑定を行い、あるいは法律事務を取扱うものであるといえる。
この点について、Xは、「情報提供をしているだけである」と反論するが、鑑定は法律的見解を述べることであり、鑑定もまた一種の情報提供である以上、本件サービスが情報提供であることは、鑑定の該当性を否定する理由にはならない。
また、「従う、参考にするかどうかはYらの任意に任せている」とあるが、そもそも法律事務の提供先が、提供元の判断に従うことは義務付けられてもいないし、弁護士法72条本文の文理上も、そのような要件を見出すことはできない。
さらに、「Xの名義ではなくてYらの名義で書面提出をさせており自らは代理していない」としているが、そもそも、「代理」とは弁護士法72条本文の一類型でしかなく、代理でなければ、同条違反を否定するとの定めはなく、かえって、「鑑定」「法律事務」など、代理を前提としない行為を含んでいる以上は、代理ではないことは、同条違反を否定する理由にもならない。

4.行為の有益性と非弁行為について
次に、Xは、「本件サービスはYらにとって有益な活動である」と主張するところ、これは、違法性阻却事由(正当化事由)の主張であると思われる。
しかしながら、特定の資格を有しないと特定の業務を行えないという制度(資格制度)が採用されている業務分野は、いずれも、依頼者や社会にとっては有益であるが、これを放任することは弊害が大きいものである(例えば、自動車運転や医業など)から、一定の制限が定められているものである。仮に、資格制度のある業務分野について、有益であるから無資格での業務が許されると解釈すると、その有益性故にほとんど全ての資格制度において無資格での業務を認めることになり、資格制度に関する法令の定めが空文化することとなり、妥当な解釈ではない。

5.結論
以上検討した通り、Xの行う本件サービスは、弁護士法72条本文違反する非弁行為である。

6.仮に本件サービスがYらにとって何ら無益ないし有害であった場合
仮に「本件サービスで提供される対応方法は、裁判実務とかけ離れており、また、書面の雛形の内容も、主張自体失当ないしYらにとって不利な事実の先行自白を多く含むなど、かえってYらにとって不利で、Aらにとって利益になる内容を含んでいた場合」について検討する。
このような場合は、本件サービスは、法律上の専門的知識に基づくものではなく、法律関係を変動したり明確化することもできないのだから、鑑定にも法律事務にも該当しないとも考えられるので問題となる。
そこで検討するに、弁護士法72条本文の要件として、その業務が法的に妥当であるとか正当であることは要求されていない。
かえってこれを要件とすると、無資格者による不適切な法律事務取扱等を禁圧するという同条の目的に反し、悪質な非弁行為ほど取り締まることができなくなるという不合理な結果となる(仮に同様の解釈を自動車運転や医業に適用すると、無謀運転や医学的に妥当性のない治療について、すくなくとも無資格であることについて罪に問えないことになり、妥当ではない。)。
そこで、実際に専門的水準に達しない法律事務の提供であっても、専門的な事項に及んでいれば、法律事務の取り扱いと解するべきである。
したがって、本件サービスは、たとえ、以上のような事情があっても弁護士法72条本文に違反し、非弁行為にあたる。

月刊弁護士ドットコムという弁護士ドットコム社が刊行している弁護士向けの雑誌があります。

弁護士には毎号無料で送付されているのですが、これの39号「実務キャッチアップ」に、当職の解説記事が掲載されました。

テーマは、偶然のタイミングですが、今話題の非弁提携です。

騙されやすいポイントを解説していますので、是非、ご覧ください。


今回は,最高裁判決の解説です。子どもの事件等を積極的に取り扱う淺井健人弁護士(東京弁護士会)からの寄稿です。

(・∀・)いつもながらわかりやすいですね。

平成30年10月19日、共同相続人間でなされた相続分の無償譲渡は、原則として特別受益にあたるとする最高裁判例が出ました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/060/088060_hanrei.pdf)。
今回は、この判例について、解説していきます。


Ⅰ 事案の概要
fig-1

1 B死亡(Bの相続人は、X、Y、A、C、D。Bは複数の土地建物、預貯金等を有する資産家。)。

2 Bの遺産分割がなされる前に、A、DはBの相続分をYに譲渡
3 Aは全財産をYに相続させる遺言を作成。
4 Bの遺産分割調停成立。
5 A死亡(Aの財産は死亡時、ほとんどなく、債務超過であった。Aの相続人はX、Y、C、D。)。
6 XはYに対し、Aの相続に関して遺留分減殺請求権を行使。


Ⅱ 判旨
①共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、
②譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き
上記譲渡をした者の相続において, 民法903条1項に規定する「贈与」に当たる


Ⅲ 解説
1 遺留分
 遺言によって、特定の人にすべての財産を相続させるとされた場合であっても、一定の法定相続人には、法定相続分の一部が保障されています。
 具体的には、兄弟姉妹以外には、法定相続分の2分の1が遺留分として保障されています。
 法定相続分は、以下のとおりとされています。

①配偶者と子どもが相続人の場合は、それぞれ2分の1(子どもが複数いる場合は2分の1を人数で割る。非嫡出子がいる場合であっても、平成25年9月5日以降の相続では等分。)。
②子どもがおらず、配偶者と亡くなった方の直系尊属(父母など)が相続人の場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1(直系尊属が複数いる場合は3分の1を人数で割る)。
③子どもも直系尊属もおらず、配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人の場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1(兄弟姉妹が複数いる場合、原則、4分の1を人数で割る。父母の一方のみが同じ兄弟姉妹の相続分は父母の双方が同じ兄弟姉妹の相続分の2分の1。)


2 本件について
 本件は、
①資産家であるBが亡くなる前に、Yの妻をA・Bの養子としてDがBの財産を相続できるようにし、
②Bが亡くなった後、A、Dが相続分をYに無償譲渡し、
③Aの全財産についてもYが相続するよう遺言をしている
ことから、資産家であるBの財産をなるべくYに承継させるように、専門家に相談したうえでスキームを組んだものと考えられます。
 相続分を無償譲渡するという方法は、原審では特別受益にはあたらないとされていたものであり、また、下級審でも特別受益にあたるかどうか判断がわかれていました。
 しかし、今後は、少なくとも、
①共同相続人間で②無償でされた③財産的価値のある相続分の譲渡については、特別受益にあるとされることから、このようなケースにあたっている方は弁護士に相談されることをおすすめします。

なお、相続分の譲渡が有償でなされた場合については、本判例では明らかにされていませんが、少なくとも、相続分の価値と比べて相当に低い金額で譲渡された場合は、特別受益にあたるとされる可能性が高いでしょう。
 なお、遺留分に関しては、信託を使って遺留分を消すという目的のもとに組成された信託につき、信託行為を違法であるとして取り消した裁判例(東京地裁平成30年9月12日)も出ているようです。信託の場合、信託行為設定の際に相当額の税金も支払っていることから、重大な損害が発生してしまいます。
 相続のスキームの組成は、遺留分減殺請求(相続法改正後は、遺留分侵害額請求)のリスクも十分に理解したうえでする必要があり、法の趣旨を十分に理解した専門家に依頼すべきでしょう。


Ⅲ 相続法改正との関係
 相続法の改正により、遺留分減殺請求や相続人に対する贈与(特別受益にあたるもの)は、以下のとおり改正されます。以下の改正は、2019年7月13日までに施行されます。
改正前は、
①共同相続人に対する贈与はすべての贈与を遺留分算定の基礎に算入する
②遺留分減殺請求がされた場合、原則は現物返還とされ共有状態となってしまうが、金銭で返還してもよい
とされていましたが、
改正後は、
①共同相続人に対する贈与は、相続開始前10年間にされた贈与に限って遺留分算定の基礎に算入する。ただし、加害の認識がある場合は、10年以上前にされた贈与であっても算入する。
②遺留分侵害額請求(改正前の遺留分減殺請求に相当)がされた場合、金銭債権のみが発生する
とされます。
 したがって、仮に相続分の譲渡が10年以上前になされ、贈与時の加害の認識を立証できなければ、遺留分の算定の基礎とはなりません。しかし、紛争予防の観点から、相当な財産的価値のある相続分の譲渡をする場合には、遺留分を侵害するおそれがないか慎重に検討しておき、加害の認識がなかったことを記録に残しておく必要があるでしょう。

今回は専門家,それも弁護士向けの話です。

非弁提携の不利益について,どれくらい知っているでしょうか?
非弁提携による不利益は,弁護士法27条違反による刑事罰や,弁護士会の懲戒処分だけではありません。

非弁提携業者が,経費名目で弁護士から吸い取っていく,しばしば依頼者の預かり金からも横領するということも,重大な損害です。莫大な債務を負担することになることも,珍しくありません。

親切そうな顔をして,おだてて近づいてくる,支援だの協力だのいっても,更にコラボだのコンサルだの,カタカナ語を駆使しても,非弁提携は非弁提携です。

最近の非弁提携業者は,平気で弁護士を使い捨てにします。自分こそが被害者だと主張することも珍しくありません。

非弁提携をしないことはもちろん,もし非弁提携の罠にかかってしまった,怪しいと思ったら,是非,少しでも早く弁護士会に相談をして下さい

早ければ早いほど,被害を小さく留めることができます。

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