弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは, i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

カテゴリ: 法律

不要な土地というのものは、そのままですと草刈りなどの維持管理費もかかります。

また、処分しようにもそう簡単に引き取り手は見つかりません。「負動産」なんて言葉もあるくらい、悩ましい存在になることがあります。

今回は、そういう問題に対する国の施策について解説します。

以下は、淺井健人弁護士(東京弁護士会)からの寄稿です。

 

1 財務省の動き

不要な土地・建物、国に寄付可能に 財務省検討

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42380600S9A310C1MM8000/

 

これまで、財務省は、土地等の寄付は原則として受け付けていませんでしたが(https://www.mof.go.jp/faq/national_property/08ab.htm)、骨太の方針2018(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2018/2018_basicpolicies_ja.pdf)でも掲げられた所有者不明土地への対策のために、動き出したようです。

 

2 法律改正の動き

所有者不明土地への対策のためには、民法等の改正も必要になることから、民法及び不動産登記法について、平成31年2月14日に法制審に諮問がなされ(http://www.moj.go.jp/content/001284667.pdf)、2020年までに急ピッチで改正がなされる見込みとなっています(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shoyushafumei/dai2/schedule01.pdf)。

法制審の準備としてなされていた登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会では、最終報告(https://www.kinzai.or.jp/uploads/touki_houkoku_20190228_1.pdf)では、所有者不明土地への対策のために、


相続登記を義務化するか、

義務化した場合に罰則等を設けるか、

義務化した場合に相続登記へのインセンティブ(登録免許税の減免等)を付与するか、

土地建物の放棄を認めるか、

認めるとしてどの範囲で認めるか、費用負担を求めるか


といったことも検討されていました。

 

3 まとめ

売却できない固定資産税だけかかる負動産を相続等で取得された方としては、今後、不要な土地建物の寄付が認められる場合には、どの範囲で可能となるのか、費用負担付となるのかといった点は、注目されるところです。

相続登記をされていない方にとっては、相続登記が義務化されるのか、罰則等が設けられるのか、相続登記へのインセンティブが設定されるのかといった点は、注目されるところです。

民間資格としての「●●士」

最近、●●士だのといって、一定の講習を受けると、民間資格がもらえると言うようなビジネスが流行しています。

たしかに、一定の学習、講習、試験を、体系化して、その結果を資格タイトルと言う形にすると言うこと自体は、決して悪いことではありません

むしろ、学習の成果が目に見えて分かるので、社会的には有益な事業だと思っています。もっとも、中には、法規制に関する誤解を利用したかのような、そういう資格商法のようなものが行われていると言うのも事実です。
これは、「サムライ商法」などといわれている昔からある手口です。

民間資格では特別な業務はできるようにはならない

最初に、結論から申し上げますと、民間の資格をいくら手に入れても、もともと国家資格が必要な仕事をすることができるようにはなりません
例えば、「外科治療専門士」、というような民間資格(架空例です。)が仮にあったとして、これを手に入れたからといって、医師でもないのに手術ができるようになるとかそういうことにはなっていません。

弁護士業についていえばなお注意が必要

特に、弁護士業務との関係では、よくよく注意が必要です。
最近、相続や交通事故についての民間資格が多数作られているからです。
中には、ちゃんとレビューしていないせいで弁護士法について誤解しているか、あるいは、知っていてあえて誤導しているのではないか、というのもあります。

具体的な案件について法的アドバイスをするには資格が必要

そもそも法律上、交通事故や相続の具体的な案件について、法律的なアドバイスをすることができるのは原則として弁護士と認定司法書士(140万円まで)だけです。弁護士法は、紛争解決の代理のみならず、法律事務一般について適用があります
アドバイスだけならokとか、そういう誤解があります。そこにつけ込んでいる可能性のある民間資格もあります。

ネットワークも構築できないし、犯罪である

中には、図を書いて、●●士を中心とする専門家ネットワーク等と称して、そういったもののマッチングであるとかそういったことをする、できるようになる、などと標榜している例もあります。
しかしながら、弁護士法は、自分で事件を処理するだけではなくて、それを周旋する行為も禁じています

ですから、こういう資格を手に入れても、何か法律問題についてアドバイスができるとか、ネットワークなるものが作れるとか、そんなこと一切ありません
それにもかかわらず、こういったことをやれば、それは犯罪となります。

法律業務における民間資格の正しい利用法

ただ一方で、すでに弁護士や認定司法書士の資格を持っている人が、特定分野について高い見識があることを、顧客に示すために、そういう資格を取ることについてはもちろん問題がありません
そういう民間資格はなくても業務はできるわけであり、かつ、その資格は、あくまでも法律上許された業務について、特に高い能力があることをアピールするポイントに過ぎないからです。そういう使い方をすれば、非常に有益な話だと思っています。

つまり、こういう資格は、(法律上の資格が必要な分野については)弁護士資格など国家資格と結びついて初めて意味があるものであるといえるでしょう。

民間資格で法律業務をすれば犯罪

なお、実際に、こういう●●士などの民間資格に基づいて、法律業務を行った場合には犯罪が成立します。
そういう規定があるとは知らなかっただのという言い訳は通用しません。これは、例えば、泥棒が悪いことであるとは知りませんでした。といっても、罪を免れないことと一緒のことです。

また、以前も解説しましたが、非弁行為によって行われた合意などは、後から無効であると判断される可能性もあります。
ですから、場合によっては、依頼者から莫大な損害賠償請求をされるリスクというものもあります。

ですから、くれぐれも、こういうものに引っかからないように、注意が必要です。

ツイッターでこんな話がありました。



私の意見を言うと、非弁行為かどうか以前に、弁護士以外に任意売却や競売の相談をすることはおすすめできません
理由は、次の通りです。

1.自分の利益のために動いてもらえるとは限らない

任意売却の場合、買い手がいます。
その場合の売却というのは、切羽詰まっての売却です。ですから、普通の売却より売り手に交渉力がありません。そして、任意売却の相談に乗った業者は、それを知っています。
弱みを見せて、それを知らせている以上、その業者(や関係者)が安く買って利益を得るために、不利な契約を結ばされるリスクがあります。
ようするに、相談者である自分の利益のために動いてもらえるとは限らないということです。
弁護士の場合、係争物件に手を出すことも、利益の相反する事件に手を出すことも、関係者からリベートをもらうことも禁じられており、これに違反をした場合、資格にかかわる重大な処分を受ける可能性があります。
ですが、そういうペナルティも縛りもない非弁護士の業者の場合は、かようなリスクがあるといえます(実際、多くの非弁業者を目にしてきた経験からいうと、これはただの危惧ではなくて現実的な危険です。)。

2.任意売却・競売で片付く問題ではない

そもそも、これらは、すでに債務超過に陥っている、返済に窮しているケースです。
競売というのは非常に手間のかかる手段ですし、任意に弁済してもらうよりも弁済金額が減るリスクもあります。ようするに、債権者にとっても合理的な選択肢ではありません。
それでもあえて、競売をはじめとする強制執行をする事案では、そもそも債務者つまり相談者が返済に窮している場合が多いです。
つまり、債務整理(破産や任意整理)の必要なケースです。
弁護士にとって債務整理は重要な業務の1つであり、「借金(債務)問題」の解決のために、あらゆる手段を検討して最適な手段を選んで用います。
ですが、任意売却コンサルタント、競売コンサルタントの得る手段は、競売という場面、任意売却という手段に限定されます。
そうなると、本当は任意売却よりもいい手段がある、あるいは任意売却(だけ)では解決しない場合でも、任意売却という手段がとられて、状況が悪化することがありえます。
なお、弁護士は、誰でもかんでも破産させるわけではありません。あくまで全ては手段に過ぎません。

3.そもそも弁護士法違反の疑いが濃厚である

弁護士法違反の成否は、具体的状況により判断するべきで、一概にいうことには慎重にならないといけません。
ですが、競売コンサルタント、任意売却コンサルタントは、非弁行為に該当する可能性が高いです。
競売も任意売却も、競売をはじめとする強制執行という場面、つまり法律事件に関する場面です。そして、それについてのコンサルティングというのは、必然的に、法的見解の提供つまり鑑定になります。
法律事件について、鑑定を行う行為は、弁護士法72条本文で弁護士でないと法律の例外がない限りは禁じられています。また、これは犯罪でもあります。

自分の人生の大事な局面、犯罪者に委ねますか?



こういう報道から、有利不利の両面の情報を得ることが、事件処理にとってはとても大事だったりします。
この情報は、かなり当事者にとっては大事な話ですので、当事者(被害者・侵害者)の方々は、すこしでも早くに弁護士にご相談を。

今回は、淺井健人弁護士(東京弁護士会所属)からの寄稿です。
保釈条件について解説します。

1 保釈条件

報道(https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42083750W9A300C1EA2000/)によると、


住居は届け出たものに制限される

事件関係者への接触禁止

パスポートは弁護士が預かる

住居の出入口に監視カメラを設置する

パソコンは弁護士事務所のインターネット接続のないもののみ使用可

携帯電話はネットとメールが使えず通話先も限定したものを使用する


等の保釈条件が付けられたとのことです。


このうち、①、②は保釈条件として通常設定されるもので、

③も外国人の場合、外国に逃げられてしまうと困るので、通常設定されます。

今回、特徴的なものは④~⑥です。

 

2 保釈率の上昇と判断の変化

保釈率は裁判員裁判導入の影響もあって、10年で2倍となり、平成28年には28.8%に上昇しています。

https://www.sankei.com/west/news/181227/wst1812270046-n1.html

そのようななかで、従前は、罪証隠滅の可能性を抽象的に判断しているかのような裁判所の判断もありましたが、現在では、罪証隠滅の可能性は具体的に判断されるようになってきています

 

3 本件の特徴

今回の保釈条件④~⑥は、事件関係者との接触可能性を最大限減らすことで、具体的な罪証隠滅の可能性を可及的に低いものとするものです。このような条件のついた保釈はおそらく前例のないものであり、画期的であるとともに、今後の保釈請求の参考にもなるものです(もっとも、本件は司法取引がおこなわれた事件であり捜査機関が早期に証拠収集可能であったことや、外国籍の大企業の社長であり、勾留の継続への批判が強かったことには留意が必要です)。

今回の保釈によって、カルロス・ゴーン元会長との打ち合わせや証拠の精査がしやすくなったことで、裁判に向けてより充実した準備をすることができるようになったことは、公正な裁判のためにも重要なことであったといえます。


参考:刑事弁護士.jp「保釈」

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