弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは,氏名住所を明記の上 i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします(恐縮ですが返事はお約束できません。)。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

2020年02月

ということで、出て参りました。
テーマは、コインハイブの件や、大阪府の青少年条例の改正問題などなどです。
(・∀・)なお、2時間番組や、生放送は度々経験がありますが、2時間で生放送は初めてでした。 
(^ω^)少し疲れましたお。 
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弁護士会というのは,弁護士法に定められた法人です。
自由に設立できるものではないのですが,設立が義務づけられている,という特殊な法人です。

弁護士会は,各地方裁判所に対応する弁護士会,これを単位会ともいいますが,単位会と,全国の単位会の連合体である日本弁護士連合会があります(なお,更に一定地域毎に連合会を別に作れますが,ここでは説明を省略します。また,例外として,東京地方裁判所の管轄地域には,東京弁護士会,第一東京弁護士会,第二東京弁護士会の3つの弁護士会があります。)。

弁護士は,必ず,弁護士会と日本弁護士連合会の会員にならないといけません。これを強制加入制といいます。
むしろ,弁護士とは弁護士会の会員のことであるともいえ,弁護士会の会員であれば弁護士であり,そうでないと弁護士ではない,弁護士資格というのは実質的には弁護士会の入会資格である,という表現も可能です。

弁護士には,弁護士自治といって,弁護士のことは弁護士が決める,資格に関する認定や処分,監督も弁護士自身が行うという制度が採用されています
なお,これは,実はすこしだけ不正確な説明でもあります。弁護士自治といっても,懲戒処分などについては,弁護士ではない人が委員として参加しています。裁判官や検察官,学識経験者などです。

また,法律専門家が身内を守る,ということにならないように,日本弁護士連合会には,綱紀審査会といって,非法曹(裁判官でも検察官でも弁護士もなく,しかもそれらの経験者でもない人)だけで構成される第三者委員会的な存在もあります。ここは,弁護士を懲戒処分「しない」という処分をひっくり返す権限を与えられています。要するに,無罪を有罪にする専用の上告審のようなものであり,それを,法曹以外に委ねているということです。

ここまで厳正なシステムを採用している専門職の懲戒制度は,ほとんどないのではないでしょうか。

そういうわけで,弁護士会というのは,弁護士にとって非常に重要な存在であり,我が国の弁護士制度の根幹ともいえる存在です。弁護士会から追い出されるとは弁護士としての資格を失うということです。
また,その会の規則に違反すると懲戒されることがありますが,これは,弁護士会が定める規則ですから,この点からも重要です。

さて,そんな弁護士会ですが,その中心は会長と副会長です。
単位会はもちろん,日本弁護士連合会においても,会長と副会長があります。日本弁護士連合会の会長については,全会員による直接選挙で選出され,その任期は2年です。

通常の選挙のように投票し,最多得票者が当選者になるという仕組みです。
しかし,少し特殊なのは,最多得票だけではなくて,単位会の3分の1以上において,最多得票を得ていないといけない,というものです。

今回の選挙では,最多得票者が,単位会の3分の1において,最多得票を得ることが出来なかったので,上位2名による決選投票が3月11日に行われる予定となっています。

この単位会要件というのは,多数の意思が少数により阻まれるので,不合理であるという意見があります。過去に,廃止が検討されたこともあったそうです。

しかしながら,現在,弁護士がほとんど都心部に集中をしているということ,地方の意見を反映させる必要があること,そして理論的にも,日本弁護士連合会は,弁護士だけの集まりではなくて,弁護士会が「連合」している,弁護士会の集まりでもあります

そういう事実上の必要性,あるいは理論的な点も考えると,単位会要件は,一概に合理性を否定出来ないのではないか,と思っています。

なお,弁護士会(単位会)には常議会という議会があります。会長と副会長だけで決めることのできない重要な事項について決定し,承認をする機関です。
私は,令和2年度の第二東京弁護士会の常議会常議員に当選しましたので,1年間,その任を務める予定です。


ということで,非常に好調です!
法曹向けの専門書なので,主戦場はAmazonではないのですが,それでもとてもうれしいですね。

まだまだいろいろ執筆したいところですので,なにか,こういうテーマについて書いて欲しいとかあれば,お知らせ下さい。
(・∀・)


約2年ぶりの単著です。テーマは,インターネット上の権利侵害,表現トラブルについてです。弁護士向けの専門書です。
この分野については,削除請求や発信者情報開示請求について,非常に素晴らしい書籍が多数出ています。

ただ,実際に開示請求をするべきかどうか,見通しはどうか,あるいは賠償金はどうなるか,特に開示請求の弁護士費用実費が認められるかどうか,交渉はどうするべきか,賠償請求の裁判で主張立証すべきは何か,という点については,発信者情報開示請求本体ほどには,あまり書籍で解説がされていなかったように思えます。

また,私はネットに書かれた側の弁護をやっていますが,実は書いた側の弁護もかなり多数,遠方の方も含めて行っておりまして,その中で,判決だけではなくて和解の相場についても,いろいろと思うところがありました
更に,請求者について,本来は賠償請求する権利があるにもかかわらず,請求方法が不適切ではないか,そのせいで本来得られるはずの賠償金を得られないということになってしまったのではないか,と感じるケースにも遭遇してきました。
逆に,スラップ訴訟(恫喝訴訟)に近いのではないか,と疑問を感じるケースにも接したことがあります

また,書き込んだ側の弁護をしている中で,相手方(書かれた側)の賠償金についての期待が高いせいか,思うように弁護士とコミュニケーションが取れていない,甚だしくは弁護士とトラブルになっているのではないか,というケースにも複数遭遇してきましたケースによっては,余りに恫喝的な賠償請求をするせいで,弁護士と依頼者が共同炎上(共炎)してしまったのではないか,というケースもあります。

他にも,和解に応じないと弁護士会照会で得られた情報を公にするぞと予告したり(もちろん,この情報は目的外使用禁止です。),子どもへの危害を予告するかのような言動をするといった,請求する弁護士の言動も問題ではないか,と感じるケースも多々ありました

おそらく弁護士がこういう言動をしてしまうのは,受任時の説明が不十分なせいで依頼者とのトラブルが生じていることが原因ではないか,と思っています。

これは,書かれた側,書いた側,どちらについてもいえることですが,ネットトラブルの法律問題というのは,ネットで法律情報が手に入りやすい。その中で,書き込まれた側は「何百万円取れて当然!」という情報ばかりつまみ食いし,逆に書き込んだ側は,「少ししか取れない!弁護士費用実費は取れない!こんな事件をやっている弁護士は三流!ネットで真実に目覚めよう!」みたいな情報を信じ込んでしまっているケースがあります。

実際に相談者から,そういう情報のコピーを見せてもらったこともありますが,不正確を通り越して,よくもまあこういう思いこみをするものである,どういう理由で思い込んだのだろうか興味深い,と感じました(弁護士に相談したんだけど,と枕詞があっても酷い内容だったりします。)。

そういうことで,削除請求や発信者情報開示請求について相談を受けて受任するべきかどうかの判断や,説明の注意点,頻出のトラブル,そして,開示の可否や賠償金額について,豊富に裁判例を引用してQ&A形式で解説をしました。

ここまで書いて開示が不可になることがあるのか,とか,賠償金はこの程度で済むのか,興味深い裁判例も多数盛り込んでいます。
特に,発信者情報開示請求の弁護士費用実費を認めるかどうかは,一大論点ですが,裁判所の判断を分けたポイントについても考察を加えています。

また,類書にあまりない試みとして,和解金額の実際であるとか,発信者情報開示請求に係る意見照会書の意味あいとか,記載内容とか,開示請求に与える影響とか,そのあたりについても踏み込んで解説しています。

投稿により被害を受けたケースはもちろん,逆に責任追及をされている事件の処理の役に立つものと考えています。

(・∀・)おかげさまで,非常に好評を頂戴しています!!

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