弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは,氏名住所を明記の上 i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

2019年10月

となるネット関係の法律単著本,ようやく原稿がほぼ終わりました!

詳しくは,またアナウンスします! 
(・∀・) 

無料電話法律相談というのをやっていると,相手方は弁護士代理で交渉しているが,こちらは今のところ弁護士はつけず,自分でやっている,という方からの相談を受けることがあります。

それ自体リスキーで,あまりおすすめはしません。ですが,今回はそのことではなくて,その相手方についている代理人弁護士の話です。

弁護士としては,別に交渉相手に弁護士がついていないからといって,それに配慮したり手加減をする必要はありません。仮にそれをやったら,依頼者への裏切りともいえるでしょう。

しかしながら,それだけにとどまらず,交渉相手に弁護士がついていないからといって,不知に乗じるような請求をし,やたら恫喝的だったり,もっというと違法な言動をする例をみることがあります。

振り込め詐欺の「弁護士役」じゃあるまいし,そういう言動は,プロとしてどうかと思います・・・。
(・∀・;) 

(・∀・)あと少し・・・,あと少しで単著本の原稿が最後まで書き上がる・・・。
(^ω^)そうすると,どうなるのかお?
(・∀・)知らないのか?
(;^ω^)え?
(;・∀・)そして ,次の書籍の執筆が始まる・・・。
(;;^ω^)お,おう・・・。

(・∀・)なお,共著本も別に出る予定です!なかなか面白いテーマですよ!!
(^ω^)おたのしみに,だお! 

過去に,「Q&A:ネット投稿の責任,発信者情報開示請求(投稿された側)」ということで,よくQ&A,誤解について,解説しました。

ただ,最近,非常に多くの投稿『した』側からのご相談を受けています。投稿『した』側の相談も,6年以上前から承っていますが,最近非常に増えている印象です(ブログを読んで相談される方も多いようです。)。
参考:IT法務.jp 発信者情報開示請求への対応

ネット上の表現トラブルについては,無料(電話)法律相談も実施している(問い合わせについては,このブログ記載のメールアドレスまで,お願いします。なお全件についてお返事をお約束するものではありません。)のですが,よくある質問,誤解というのもあります。
中には,スラップ的な請求をされて,危うくそれに応じそうになるなど,結構危うい事案もあります(そういうことをする弁護士は,たとえ代理人とはいえ,限度があるはずで,どうかと思います・・・。)。

ということで,今回は,投稿『した』側についてのQ&Aについて,お話しします。
なお,もう少し詳しい話は,別の機会にする予定です。 
おって,前回同様,この情報の利用にはよく注意をしてください。

Q1.内容証明郵便が来た!○○日以内に返事しないと即刻提訴とあるけれども,急がなきゃ!
A1.この種事案に限りませんが,その期限は絶対ではありません。

この種の質問を最初によく受けますが,弁護士であれば常識ですが,基本的に相手方が設定した期限は,こっちが同意しない限りは法的に意味があるわけではありません
期限と提案が同時にあれば,その期限内でないと提案に同意できない,という法的意味はあります。
ですが,最初の提案は高額ですので,はっきり言って,同意するメリットがほとんどないことが多いです。
なお,法的に期限となると,実は投稿した日です。損害賠償請求は,支払期限は事件当日というルールですので,そういう意味で,もう期限は過ぎているということで,変わりはありません。
この事件当日という期限を経過することによるペナルティは年5パーセントの利息ですので,さほど重視するものではありません。


Q2.「発信者情報開示請求に係る意見照会書」というのが届いたんだけれども。
A2.よく考えて書きましょう。ただし,証拠は別として,書面を自分で書くのはおすすめしません。リスクはありますが,自分で書くならごく簡単に書きましょう。

これもよくある相談です。法律上,プロバイダは,発信者情報開示請求があった場合,開示に応じてもよいかどうか,意見を発信者に聞くことになります。この手続きを誤るとプロバイダは責任を追及される可能性があります。
この場合の意見は,裁判外の請求ではプロバイダが判断する材料になります。また,裁判上の場合,この書面を参考にし,あるいはコピーを裁判に提出することになりますので,裁判所の判断の材料になります
要するに,法的な「答弁書」類似の機能があると思ってください。
こちらですが,上記のリンク先でも解説していますが,裁判で出す書面同様,いろいろと留意点があります。

よく,裁判等の書面で「本人で書いた書面では不十分」という話がありますが,むしろ不十分なら裁判所が示唆してくれます。それより怖いのは,自分にとって不利なことを書いてしまうということです。基本的に自分で自分にとって不利なことを話した場合は,そのまま利用されてしまうというのが裁判のルールです。裁判所は,不十分な書面であれば助け船を出すことはありますが,「オウンゴール」の書面は,判決するのに便利ですので,そのまま使ってしまいます
ということで,できれば弁護士に依頼して作成するか,さもなくば,できる限り端的に少しだけ記載したものを出す,とすべきでしょう。
実際に,裁判例の中にも,「かえって(発信者提出の書面)によれば,(発信者に不利な事実)が認められる。」などというように盛大に自爆しているケースがあります。
一方で,証拠については,そこから自分が推知されるというリスクはありますが,それ以外,オウンゴールのリスクはないとはいいませんが,低いです。ということで,それは出してもよいことも多いでしょう。


Q3.すぐに提訴するとあるのですが,どれくらいで提訴されるのですか?
A3.はっきり言うと,その通り提訴してくる人はほとんどいません。本当にすぐに提訴するつもりなら,内容証明郵便より先に提訴しています。

これもよく聞かれるのですが,すぐに提訴と書いてあっても,すぐに提訴するとは限りません
そもそも,そんなに提訴する気であるならば,内容証明郵便なんて迂遠な手段を使わずに,さっさと提訴しています(実際に,そういうケースがあります。)。
裁判前で解決することについて,相手方にメリットがある,逆に言えば,裁判には相手方にデメリットがあるので,それを避けるために,そういう提案をします
このあたりは,交渉の技術というものもありますので,弁護士に相談するようにしてください。弁護士は,何気ない一文から,重要な事情を読み取ったり,読み取らせたりします


Q4.賠償額は100万円オーバーが常識,相場ということで,そういう合意を求められていますが・・。
A4.そう簡単にいけば,苦労はないのですが・・。

日本の慰謝料相場というのは,決して高額ではありません。死亡慰謝料が2000万円から2500万円程度に抑えられている関係で,ネットの投稿被害の慰謝料金額は,さほど高額にならない例もあります
一方で,高額になるケースもあります。これは事件にもよりますし,また,本人訴訟で十分な反論をしていない,的外れな応訴をした場合などのケースでも高額になることが多いです。

このあたりは,私も賠償請求においては苦労しているところです。ただ,ある程度高額な賠償を実現する方法,主張立証のやり方というものもあります
このあたり,ここ1,2年でいろいろ裁判例が出てきており,某判例データベースは,この手の判決を大量に収録しています(私も一覧を作ったりしています。)。ということで,弁護士に相談して,類似する案件をヒントにしてもよいでしょう。
もっとも,交通事故のように,ぴったりの案件はそう簡単に見つかりませんので,留意が必要です。

実際に私も担当事件で,事業上の損害も生じた,病気になったなどと主張されて数百万円を請求されたが,裁判で徹底的に争った結果,10万円未満の判決になったケースもあります。


Q5.発信者情報開示請求があったのですが,どうやら裁判外(前)のようです。裁判でないと,開示されないんですよね?
A5.もう,そういうことではありません。

かつてはそういう傾向があったのですが,最近は,一定の場合や,あるいは会社により,裁判外で開示されることがあります
ネットでは,読み手に都合のよい法律情報が広がる傾向があります。これは,投稿『した』方も『された』方も,同じことがいえます。
このあたり,判断を誤ると,あるいは遅れると,取り返しのつかないことになりかねませんので,気をつけください。


Q6.通信記録は3ヶ月で消えるからもう安心だよね?
A6.そうとは限りません。

よく言われていますが,実情は3ヶ月「以上というものです。
また,民事保全という裁判手続きや,あるいは手紙であっても延長に応じるケースはいくらでもあります。
更に,1年以上の保存がされていたケースにも接したことがあります。逆に,同じプロバイダでも,4ヶ月前の記録は消えていたが,それより長期間経過したものが残っていたということもありました。


Q7.開示費用の実費も請求されたのだけれども,払う必要があるんですか?
A7.両説あります。

法律上の原則では,弁護士費用というのは各自負担です。以前,弁護士費用の敗訴者負担ということが議論されましたが,それをすると,裁判に敗訴するリスクが高くなります。敗訴するリスクが高くなるということは,裁判をするリスクが高くなる,それは裁判を受ける権利という憲法上の権利を制限することになる,等の指摘で,結局は導入されていません。
ただ,事件事故(交通事故が典型です。)については,ネットの投稿被害も同様ですが,賠償額の1割を弁護士費用名目で認めてもらえます。50万円だったら5万円を足して,55万円ということです。
よく報道で「賠償金として330万円を請求した訴訟で・・・」というような,11で割れる数字が出てくるのは,そのせいです。
これについては,最近,それなりに傾向が裁判例で定まってきたようです
この問題については,認めた裁判例として平成24年の東京地方裁判所と東京高等裁判所の判決が有名です。ただ,最近は,新しい判決も多いので,この判決だけ引用している場合,もう少し主張として,補充する余地があるケースではないか,と思います。


Q8.刑事事件になるのですか?
A8.これもケース次第ですが,基本的に難しいです。

ケースバイケースといってしまうとそれまでですが,基本的に難しいです。弁護士向けの書籍にも,そういう記載があります。
ただ,可能性はないわけではありません。具体的には,一定の表現とか,態様が捜査当局には重視されています。具体的な点は省きますが,一定のメルクマール(目印とか指標といった意味のドイツ語です。法律家は,一定の基準とか,目印になりそうなポイントとなる事情,条件について,こういう言い方をします。)がありますので,不安であれば,弁護士とよく相談するべきです。


Q9.弁護士から届いた書面がやたら恫喝的で,期限設定も短いのですが。
A9.そういう戦法もありますが。

実際問題として,裁判というのは,双方の得になりません。余計なコスト(弁護士費用も時間も)かかるからです。
となると,投稿『された』側としては,裁判前に解決できるに越したことはありません。それは,投稿『した』側にとっても同じことがいえます

ということで,恫喝的な書面であっても,相手が驚いて,恐怖して支払ってしまえば,それで「勝ち」というような側面があります。弁護士としての経験上,なぜかこの種事件では「恫喝的な表現で,本人が驚いて支払うことを狙う」ような書面を目にすることが多いです。
逆にいえば,表現がきつい場合(きつければきついほど)は,相手方は裁判を避ける意思が強いという分析も可能です。

例えば,「俺はネットに強い弁護士!即刻提訴!こっちの提案に合意しないなら即刻提訴!●日以内に返事しないと即刻提訴!俺はネットに強い!(大意)」という書面が出てきたので,すぐに訴状が届くでしょうということで待っていたら,期限がとっくに過ぎた後,「なんで返事くれないんだー?」とか言われたことがあります。いうこと聞かないなら話し合わないというような書面を出しておいて,相手に甘えるのはどうかと思いましたが,おそらく本人相手では,それでうまくいったこともあるのでしょう。

他,私が相談を受けた事例の中に,おそらくは弁護士が代理人についていないので,大丈夫だろうと思ったのでしょうが,さすがに恐喝罪とはいわないまでも,弁護士倫理上問題がある「予告」をしたケースに複数接したことがあります。

ネット事件については,弁護士向けの良書が増えましたので,本を読んだだけである程度できる,ということで,交渉のコツとか弁護士倫理とかOJTを受ける機会がないままに,しばしば,弁護士倫理上の問題のあることをしてしまうケースもあるのでは,と危惧しています。
現状,「○○に強い弁護士」という表現が流行していますが,その分野に注力している割には,全然私も名前を知らず,著作も論文もなし(ないとダメ,とはいいませんが)に安易に標榜されており,どうかと思っています。


さて,今回は以上です。これまでの相談で頻出のポイントをまとめましたが,法律問題というのは,具体論です。以上のQAが当てはまるかは,事案次第ですので,当然,その点は留意してください。

最近,非弁提携規制の問題から,ちょっとこれはまずくないか?みたいな例によく接します。
弁護士というのは,かけ算のできる仕事であり(これについては,著書で少し話す予定です!),いろいろ発展性があります。ただ,それ以上に,厳正な規制があるわけで,そのあたりを意識しないとリスクがあります。

何でもかんでもダメ,というつもりはないのですが,せっかく,面白い,素晴らしい試みでも,そういう欠陥があると,いろいろと残念です・・・(・∀・;) 

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