弁護士 深澤諭史のブログ

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2019年04月


*裁判についての解説も追加しました→「『上級国民』は刑事裁判で有利」と弁護士が思う理由
立て続けに、大きな交通事故がおきました。

その交通事故をめぐって、あの人は逮捕されたのに、この人は逮捕されないのはなぜか、それは上級国民だからではないか、などという議論が、ネットで巻き起こっています。

この上級国民というのは、ネット上のスラングの一種です。高級公務員や大企業の重役、あるいは、政権の関係者、それらの経験者など、とにかく偉い人で、特別扱いを受けるべき人、という程度の意味だそうです。
さて、上級国民といわれるような方々は、本当に逮捕されない、あるいは、普通だったら逮捕されるのに、上級国民だと逮捕を避けられるとか、そういったことがあるのでしょうか。

これについてですが、誤解を恐れずに、でも、はっきりと申し上げると、「上級国民は逮捕されにくい」という事は間違いなくいえると思います。

それは、どういう理由からでしょうか。

逮捕やそれに続く勾留(両者は別物ですが、解説すると長くなるので、一括して説明します。)という手続き・身体拘束は、懲役刑など、刑罰としての拘束とは異なります。
逮捕や勾留は、有罪判決の確定前に行われているのであり、決して刑罰ではありません。

逮捕や勾留は、捜査の適正の確保のため、あるいは裁判の維持のため、あるいは判決後の刑の執行の確保のために行われるものです。

これは、どういうことかというと、例えば、被疑者(犯罪の嫌疑を受けている人をいい、逮捕の有無は問いません。)が逃亡してしまった場合には、裁判にかけるという事はできません。
また、判決が出ても、刑を執行するということができません。さらに、そもそも裁判を開くこともできなくなってしまいます。

さらに被疑者が、関係者と口裏合わせをしたり、証拠品を廃棄したりなどすると、これまた、捜査は適正に行えませんし、真実も発見できず、適正な裁判を行うことも難しくなります。
逮捕や勾留は、このような弊害を避けるために、被疑者に、犯罪の疑いがあることを前提として、証拠隠滅したり、逃亡するような危険がある場合に限り認められます
正確には、これらの疑いには、そう疑うに足りる相当な理由、というレベルの根拠が必要であるとされています。

そして、証拠隠滅や逃亡の可能性というのは、理論上は犯罪の疑いとは別の概念です。

犯罪をしたというのは間違いなく認定できたとしても、逃亡や、証拠隠滅の可能性がなさそうであれば、逮捕勾留されないこともあります。また、犯罪をしたという事について、確信がもてない場合であっても、逃亡や証拠隠滅をする可能性が高い、というケースでは、逮捕勾留が認められやすくなります。

以上を前提に、上級国民について、考えています。

上級国民は、通常、職業や、住居がしっかりしている、また、財産もあるでしょう。ですから、それらを全部なげうって逃亡するという事はなかなか考えにくいです。そうすると、逃亡する可能性はほとんどないという判断に結びつくでしょう。

また、上級国民といえども、証拠隠滅をすれば身柄を拘束されることになります。そうなると、そんなリスクを冒して証拠隠滅をする可能性もない、ということになるでしょう。
上級国民は、身体拘束で失うものが大きいので、そんなリスクを無視して、証拠隠滅には及ばない、ということです。

さらに、上級国民は、前科や前歴もなく、証拠隠滅をそそのかすような組織、団体との関わりもないでしょう。
加えて、上級国民は、殺人や放火など、法律上、重たい法定刑が定められている犯罪を犯す、疑いをかけられることは稀であり、通常は、過失犯など法定刑がそこまで重くない犯罪が中心になります。
そうなると、20年、30年の服役の可能性があるのであれば別格、執行猶予の可能性が高い、実刑になっても、2、3年というのであれば、情状が悪くなる、身体拘束される、あるいは終わりのない不自由な逃亡生活を覚悟して逃亡し、証拠隠滅をする可能性は、ますます下がります。

そういうわけで、上級国民という身分(そんなものがあるわけではないですが)そのものに着目をしているというわけではありませんが、結果的に、上級国民の持つような属性が、逮捕勾留を否定するような事情になっている、ということがいえると思います。

以上乱暴にまとめてしまうと、上級国民だと逮捕されにくいというのは、一応は真実であるといえると思います。

もっとも、私としては、このような取り扱いが、妥当であると思いません。

上級国民は逃亡したら失うものが大きいから逃亡するという事はなかなか考えにくい、とはいえるかもしれませんが、それは、上級国民に限りません。
上級国民の持つ高い地位、生活など「だけを」特別扱いして、そうでない人の立場を軽視するような判断は、あまり賛成できるものではありません。

これは、上級国民「も」逮捕しろ、ということではありません。上級国民でなくても、しっかりと逃亡や証拠隠滅の現実的な可能性、相当な理由を確実な資料から認定し、そうでないなら、「一般国民」も逮捕勾留するべきではない、ということです。上級国民でない人々にも、かけがえのない生活があることには変わりありません。

今回、このような疑問が湧き上がったのは、市民の認識としては、悪いことをしたから逮捕勾留されるという認識が強い一方で、法律上は、それだけでは足りず、証拠隠滅や逃亡の可能性が審理されるということ、そして、いわゆる上級国民といわれる方々については、犯罪の内容や身分・地位から、逃亡や証拠隠滅のリスクが比較的低いと判断されやすい、こういう、認識のギャップというか、食い違いが、誤解を生んだのではないか、と思います。


こういう感じで、非弁行為については無効リスクがあるので、交渉には応じられない、代行名目でも関与の程度次第で無効になるので、基本的に応じられない、という対応が一般的になれば、非弁行為は相当に抑止できるのではないか、と思っています。
また、これで作成された書面一般についても、事後に無効が主張できる可能性を検討することになろうかと思います。

このように、事前と事後の無効主張が一般的になれば、非弁行為の活動の範囲はなくなり、自然と抑止できるのではないでしょうか

なお、この点つまり相手に非弁行為者が出てきた場合は、交渉や連絡から排除すること、事後の無効主張検討するべきこと、それは弁護士の善管注意義務でもあることは、数年前から研修で指導しています。

そういうことの効果も、じわりじわりと出てきているようで、うれしいです。
(・∀・)

こういうのって、なんとかならないですかね・・。
取り締まりも大事ですが、注意喚起、啓蒙(情報提供)も大事ですね。

非弁行為が悪質なのは、市民一般が持つ、法律、法制度に対する素朴な信頼感を逆手に取るところだと思います。

ちょっと話題になりました。
弁護士法の問題ですので、すこし解説します。
職業(国家資格)の中には、無資格で名乗ると処罰されるものがあります。これを名称独占といいます(なお、無資格で業務ができないことを、業務独占といいます。)。

結論からいうと、真実、弁護士であれば、匿名で弁護士を名乗ることになんら問題ありません

この点に関して、法律は、次のように定めています。
弁護士法74条1項
弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
見ての通り、この定めに匿名で名乗ることを禁じる内容は含まれていません。
要件を見てみると(弁護士法人や法律事務所の点について除く)、

①弁護士でないこと
②弁護士と標示又は記載をすること

ということになります。

弁護士が匿名で弁護士を名乗ることは、②には該当しますが、①には該当しません。
また、弁護士であると証明できないのに弁護士と名乗ることを禁じているものでもありません

もっとも、弁護士が、匿名であることをいいことに、不正確な情報を流布するとか、そういう行為には問題はあるでしょうが、それはまた別の問題です。

また、匿名で広告に当たるような行為をすると、広告規程違反の問題が生じます

ちょくちょく更新しています。
(・∀・)

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