弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは, i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

2019年02月

FullSizeRender

ひたすら地面師の手口と裁判例を紹介しつつ、司法書士の責任はいわゆる専門家責任の中でも特殊(そして重い。)という点にも言及しました。
その上で、裁判例では、傾向として、どういうミスがあれば責任を認めやすいのか、逆に、どういうところまでは責任を認定しないのか、そういうあたりについても解説をしました。
あの有名な免許証偽造事件も紹介しましたが、ほか、面白い例として司法書士は責任なし、登記官だけの責任を認めた事例、証明書の偽造透かしを見破るべきだったと判断された事例なども紹介しています。
会場は満員で、この問題に関する関心の高さがうかがわれました。
なお、下は、講演後の懇親会の様子です(・∀・)

FullSizeRender



最近流行の非弁行為に関するデマ

最近、非弁行為の該当性について、平和的にやっている、だから事件ではないので、非弁行為ではない、という言説を耳にします。

結論から言うと、間違っています。

「『事件』ではない」は理由にならない

まず、事件ではないという点ですが、これについて、紛争の可能性がある案件の取り扱いは非弁行為になるというのが、最高裁の判例です。
また、その判例は、紛争性のない案件に弁護士法72条(非弁行為)の適用がないということまでは、断言していません。そして、最近の地裁高裁の裁判例は、概ね、法律関係を変動させる、形成する案件であれば、非弁行為になると判断しています。

もっとも、この議論は、実際にはあまり実益はありません。外部の「自称専門家」に有償で依頼する案件である以上、ほとんどの場合は、少なくとも潜在的には紛争性があるからです。

「平和的」「適正」は非弁行為の正当化にならない

次に、平和的にやっている、要するに、暴行脅迫していない、適切に適正な請求をしているだけだから、非弁行為ではない、というような意見もあります。

ですが、これも間違いです。
たしかに、非弁行為は、無資格者による他人の法律事務取扱いを認めると、こういう脅迫等の問題(他にもいろいろありますが)が生じうるから禁止されています。
ですが、それは、非弁行為が禁じられる理由の一つであって、非弁行為になる要件ではありません

たとえば、無免許運転も酔っ払い運転も禁じられていますが、その趣旨は、危険な運転を防止するというものです。
ですが、安全運転であれば無免許でもいい、あるいは酔っ払っていてもいい、というわけでありません。それと同じことがいえます。

電子書籍のスクショは合法? 実際に逮捕されるの? 弁護士が解説する「違法ダウンロードの対象拡大」

AbemaPrimeで、漫画家・実業家の赤松健先生と出演させていただきました。

AbemaTVには、何度か出演させていただいているのですが、インターネットの反応を見ながらトークしたり、社会問題に深く切り込んだりする、非常に楽しいメディアです。
今回も、赤松先生がインターネットで集めた質問に答えていく方式で、解説させていただきました。
なお、ネットでしばらく見られますので、そちらも是非どうぞ(・∀・)

他の弁護士に雇われて仕事をする弁護士を勤務弁護士、イソ弁(イソは、居候という意味ですが、イソギンチャクであるとの説もあります。)、アソシエイト弁護士などといいます
基本的には、最初は勤務弁護士からスタートして、実力をつけていくと、パートナーという事務所の共同経営者になったり、独立して事務所を構えたりします。
勤務弁護士を雇う弁護士を、ボス弁といったりします。

そういうわけで、勤務弁護士は、決まったお金をもらう代わりに、所属先の命令で仕事をする、ということで、一般社会でいうところの社員、従業員、サラリーマンという立場にあります。

ところで、法律上、他人の指揮命令監督下に入って労働して対価をもらう契約を労働契約といいます。働く側を労働者、働かせる側を使用者といいます。

労働契約については、使用者が立場上、労働者より非常な優位にあります。ですから、労働者保護のため、労働基準法をはじめとする労働法と呼ばれる法律で保護されています。
これは、契約に優越し、たとえば、お互いが合意しても最低賃金以下の給料は設定できない、残業代0にできない、などがあります。

ところで、勤務弁護士については、残業代が発生しないとか、休日労働をしいられる、残業について必要な三六協定がないことがほとんど、という問題があります。

もちろん、労働契約でなければ問題ありません。お互いの同意があれば、原則として内容は自由だからです。
ですが、労働契約である場合、つまり勤務弁護士が労働者であれば、法律の定めは、当事者の合意に優越します。ですから、勤務弁護士がどういおうが、残業代は払わないといけませんし、三六協定も必要です。違反があれば違法ですし、場合によっては犯罪にもなり得ます。
そして、労働契約かどうかは、名目ではなくて実質で判断されます

法律事務所が違法行為を、それも犯罪に当たりそうなことをしているかもしれない、ということで、これは由々しき事態です

ですが、実は、勤務弁護士が労働者であるかどうかについては、あまり突っ込んだ議論がなされていません

これは、ボス弁からすれば、労働法の厳格な規制には従いたくないという事情があります。
そして、厄介なのが、イソ弁からしても、指揮命令監督下にあるとはいえ、個人事件(事務所から配点された事件ではなくて、自分で受任して処理する事件のことをいいます。原則として報酬は、一定割合の経費負担を求められる場合があるほかは、自分のものです。)をやる自由、弁護士会の活動に参加する自由は確保したいという事情があります。
これはどういうことかというと、労働者性が明確になってしまうと、だったら普通の労働者のとおり、時間や場所を厳しく制約されることになるのではないか、というものです。

そういうわけで、この議論は、弁護士界にとっては、タブーというか、むしろタブーというより、玉虫色にしておきたい、そういう微妙で、扱いに困る問題だったりします。

もっとも、一部の主張、つまり「自由を認めているんだから、労働者ではない。イソ弁にもメリットがある。」みたいな議論は、間違っていると思います。
労働法の定めは最低基準ですから、一部が最低基準を上回る、恩恵を与えているから守らなくていい、というのは労働法の解釈として、明らかにおかしいと考えています。
これは、ブラック企業の社長が、「俺はたまには労働者をのみに連れて行って、奢ってやってる」「労働者もおれに感謝している」みたいなことを主張しても、労働法の適用は一切免れないのと、同じことです。

なお、これは、私見ですが、私はほとんど全てのイソ弁は、労働者で(タブーに触れるため省略されました。ここをクリックしても続きは表示できません。)。

何かトラブル(ネット上はもちろん、そうでないものも含みます。)に遭遇した際、「拡散希望」といって、事件の情報を「拡散」して、それで解決を図ろうとする人がいます。

もちろん、ケースによっては有効なこともあるかもしれませんが、はっきりいって、おすすめしません。むしろ、やめるべきです。どうしてもというのであれば、弁護士に相談をしてからにすべきです。

そもそも、「拡散」をして、どうやって解決するというのでしょうか。それを聞いた人が助けに来るとか?友人知人になぜ求めないのか?
あるいは、拡散されて一方当事者が困るから?それで自分のいうことを聞くだろうから?しかし、それでは強要とかわりありません。正当な権利の実行でも、違法な方法は許されません
適法にお金を貸しても、かえってこないからといって、「何処何処に住んでいる〇〇はお金を返しません!」と言いふらすことが許されるのでしょうか?
玄関に張り紙をして回った悪質金融と手口は変わりません

こういうことがあると、せっかく、もとから勝てる案件であっても、逆襲されるリスクが高くなります。また、相手方にそういう損害を出すと、そもそもこちらの要求を聞く能力と意思を失う可能性も大いにあります。

↑このページのトップヘ