弁護士 深澤諭史のブログ

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2018年10月

最近は,インターネット上の掲示板で,法律問題,法的事項について質問するということが一般的になってきました。

法的な質問専用の掲示板で,回答者が弁護士に限定されているものもあります。また,そうではないもの,一般的な質問も行われる掲示板で,回答者が弁護士に限定されないというところもあります。

よく相談されるような法律相談のキーワードで検索すると,質問も回答も沢山出てきます。
そこで今回は,こういった質問サイトで法律問題を尋ねる場合の利用法,価値について,考えてみたいと思います

最初に,質問事項が法律問題に限られない,回答者も弁護士に限られない掲示板サイトで,法律問題を質問する場合について考えてみます。

結論からいうと,このようなサイトで法律問題を質問することは,基本的に避けた方が無難でしょう。
もちろん,中には弁護士の,それもその分野にかなり明るい弁護士からの回答を顕名(名前の表示がある。)で得られる場合もあるでしょう。

ですが,ほとんどの場合は匿名の,それも非弁護士からの回答であることが想定されます
もちろん,弁護士でなくても,正しい回答が絶対にできないというわけではありません。日本においては,法曹資格を有しない者が法務の大部分を担っているという現状があり,資格がなくても法律分野に明るいことは珍しくはないからです。

もっとも,このような場での回答は,構造的に非常に質が低い,不正確な内容になります。
匿名で資格もない以上,そもそも回答として相当に無責任になる可能性が高くなります。

また,無資格であるにも拘わらず,質問されている法律問題に解答が可能であるということ,つまり,知っている(と思い込んでいる。)ということは,そのトラブルの(元)当事者である可能性が高いです。
そうなると,客観的な法制度よりも自分の願望が優先され,その願望に沿った独自の見解を示すという可能性も高まります

必然的に,匿名で,責任のない,それも紛争の当事者で資格を有しない者からの,願望の入り交じった回答を受け取る可能性が高くなります

ですから,単に興味本位であるとか,関連する資料のありかとか,間違っていても問題がない,あるいは間違っていたらすぐ分かるような質問以外は,しないこと,利用しないことが無難でしょう。

次に,法律問題に限定されている掲示板サイト,回答者が弁護士等有資格者に限定されている場合について考えてみます。
これも,先ほどの例ほどではないですが,利用には慎重になった方がいいでしょう。ただ,注意さえすれば,活用の余地は十分にあります。

弁護士が回答をしている以上,十分に正確なはず,無責任な回答はないはず,と思われるかも知れません
ですが,回答者が充分な知識を有することは,この手の質問掲示板サイトの正確性を担保しません。回答者が十分に知識を持っているだけでは,正確な回答は期待できないのです。

これは,どういうことかというと,法律問題について正確な有益な回答をするには,その前提として,問題について検討するに必要な充分な情報が必要です。これは,医師が診察をするのに問診をする,あるいは採血等の検査をすることが必要なことと同じような話です。

これを質問をする掲示板サイトについてみると,質問者は,自分が話したいこと,聞きたいことだけを投稿します。しかし,弁護士であれば常識ですが,法律問題で一番大事な事実は,しばしば相談者が自分から話さない,そして話したがらない事情であることが珍しくありません

そうすると,回答者がいくら正確に回答をしようとしても,そもそも前提となる情報が不十分なのですから,回答も不正確,不十分にならざるを得ません。

すなわち,質問サイトにはおいては,必要な事情が明白な簡単な事件,客観的な制度や処理の流れに関する質問であれば有益なことも多いでしょう。ですが,そうではない,複雑な問題,争いがある問題については,あまり有益ではない,リスクがあるということがいえると思います。

そういう場合は,回答者だけではなくて,質問者も,自分の問題を的確に把握し,必要な情報を網羅して適切な質問をする,つまり回答者だけではなくて質問者すらプロになる必要があります。もちろん,それは現実的ではありません

また,残念ながら,専ら営業目的で,抽象論一般論をコピー・アンド・ペーストだけして,見かけ上の回答数を稼いでいる弁護士もいるようです。そのような回答は有害ということは珍しいでしょうが,無益です。基本的な部分で間違っている,架空の法律をでっち上げた(!)のではないか,という回答の話も耳にしたことがあります。

ネット上の質問サイトの有益性を一切否定するものではありませんが,以上のような点に留意して利用することがいいでしょう。最近は,弁護士が電話相談を実施する事も多い(私も分野等によりますが,電話相談をすることはあります。)ですので,そういったサービスを利用することも有益です

もちろん,名前を名乗って,実際に電話で相談することには,少し心理的抵抗があるかもしれません。でも,大事な問題に関することですし,取り返しが付かないことになる,損をする,そして悔しい思いをしないためにも,相談に踏み切ることは,必要なことです。

参考:インターネット上の法律問題の注意点

法律の中には,違反した場合の罰則が定められているものがあります。これを刑罰法規とか,広義の刑法といったりします。

刑罰法規の目的は,一定の行為を抑止して法益(人の生命身体とか法律により守るべき利益のことをいいます。)を守ることや,一定の行政目的の達成などがあります。

ところで,刑罰法規は,誰に適用があるのでしょうか?
もちろん,「みんな」にあります(ただし,公務員が賄賂を受け取る収賄罪とか,一定の地位・身分がないと成立しない犯罪もあります。)が,ここでいう「みんな」とはだれなのでしょうか。外国人に適用はあるのでしょうか。

結論からいうと,刑罰法規は日本国内で行われた行為全てに適用があるとされています。したがって,外国人についても,日本国内で行った行為には適用があります。

逆に,原則として国外で行った行為については,日本の刑罰法規の適用はありません。たとえば,賭博は日本では犯罪ですが,海外旅行にいってギャンブルをしても犯罪にならないのは,国外での犯罪であり,日本の刑罰法規の適用がないからです。

ただし,この原則は例外が非常に広いです。たとえば,傷害や放火といった犯罪は,国外で行っても日本国民であれば日本の刑罰法規の適用があります。
また,大麻の犯罪についても同様で,法律上,日本国民が海外旅行にいって,大麻が解禁されている国で大麻を譲り受けて所持したとしても,犯罪になるとされています(個人的には,処罰範囲として少し広いのではないか,とも思います。)。

さて,ここからが本題ですが,日本ではわいせつ物を頒布したり,その目的で製造をすることが禁じられています。ここでいうわいせつ物とは,かなり判断が難しいのですが,一般に性器が露骨に描写されているなどの表現物が該当するとされています。
ですから,アダルトビデオや成人向け書籍で「修正」が加えられているのは,この「わいせつ物」に該当しないようにするためです。逆に,これが不十分だとわいせつ部頒布等の罪に問われることになります。

さて,最近は,各種の販売プラットフォームサービスを利用して,日本国内の個人や会社が,海外向けにゲームや同人誌等の電子書籍を販売する例が増えています
それらのゲームや同人誌が成人向けであった場合,海外向けの製品には,上記の「修正」をしない例もあるようです(なお,同人誌が二次創作の場合は,著作権法の問題もありますが,ここでは検討しません。)。

その根拠は,上記のわいせつ物頒布等の罪は,海外で行った行為に適用はない,海外向けであり海外サーバーを利用するのだから,日本の刑罰法規の適用はない,という理解に基づくようです。
結論からいうと,この理解は誤っている,犯罪が成立する可能性が高いと考えられます。

それは,このようなケースでも,国内犯つまり日本国内での犯罪であると評価できるからです。
国内の犯罪であるかどうかの判断について,判例は,犯罪の行為や結果の一部でも,国内にあればそれで国内犯であると判断しています。
ですから,以上の例ですと,問題となるコンテンツの制作,頒布のための手続き等は国内で行われていますので,国内犯であると考えるのが自然であるといえます。

同様の理屈で逮捕された例もありますので,「国外会社・国外サーバーだからOK」とか安易に判断し,取り返しの付かないことにならないように注意が必要です

司法書士も行政書士も,その業務として一定の種類の法的な書類の作成が行えます

司法書士法も行政書士法もこの点においては,弁護士法72条の特別法ですから,その業務範囲で法律事務の取り扱いが可能になります(なお,これらの点については,諸説あり,かつ,行政書士について反対の立場をとる裁判例もあります。)。

では,ここでいう書類作成業務とは,どのような範囲なのでしょうか。最終的に書類作成という行為に還元できれば,特に制限はないということになれば,実質的に,弁護士が行う訴訟代理にかなり近いこともできるように思えます。

この書類作成の範囲については,次のような裁判例があります。
かなり長くなりますが,引用します。強調はこちらで付しました。

司法書士の業務は沿革的に見れば定型的書類の作成にあつたこと、以上の相違点は弁護士法と司法書士法の規定のちがい特に両者の資格要件の差に基くこと、並びに弁護士法七二条の制定趣旨が前述のとおりであること等から考察すれば、制度として司法書士に対し弁護士のような専門的法律知識を期待しているのではなく、国民一般として持つべき法律知識が要求されていると解され、従つて上記の司法書士が行う法律的判断作用は、嘱託人の嘱託の趣旨内容を正確に法律的に表現し司法(訴訟)の運営に支障を来たさないという限度で、換言すれば法律常識的な知識に基く整序的な事項に限つて行われるべきもので、それ以上専門的な鑑定に属すべき事務に及んだり、代理その他の方法で他人間の法律関係に立ち入る如きは司法書士の業務範囲を越えたものといわなければならない(昭和54年6月11日高松高等裁判所判決 判例タイムズ388号57頁)。

まとめると,誤解を招かない程度に言い分を整理して書類にする直す行為が可能であり,かつ,それに限られ,専門的法律知識を用いてなにか,内容を提案をしたり,あるいは判断を提供したりする行為は含まれない,ということになります。

これは,司法書士の裁判関係書類等の作成について判断されたものですが,行政書士についても,別に解する理由がありませんので,同様に妥当するということになると思います。

したがって,司法書士に裁判関係書類や,行政書士に内容証明郵便等の書類作成を依頼する場合は,次のような場合に限られることになります。
すなわち,自分で言い分が全て決まっている,その言い分に過不足はなく,有利な事情は網羅し,不利な事情は含まれない,前提となる法的判断は正しくできている,しかし,整理をして誤解を招かないよう,あるいは書式を正しくしてもらう,提出先等の形式的手続きについては聞きたい,確認したい場合です。

そうでない場合は,書類作成であっても,弁護士や認定司法書士(紛争の目的物の価額が算定可能かつ140万円以内の場合)に相談を依頼するべきということになります。
なお,業務範囲を超えた書類作成が原因で,行為が事後的に無効と判断されたケースもありますので,その点からも,注意が必要です。

非弁については,いろいろ語ってきたところですが,非弁と非弁提携の根絶は,取り締まりももちろんですが,啓蒙,情報提供も大事だと思っています。

非弁が横行するのは,弁護士側の情報提供が不十分であるという,弁護士側の責任という側面もあるかもしれません

ですから,非弁護士に依頼をすることは予期せぬ損害につながることを広報していくとともに,かつ,市民に使いやすい法的サービスを提供していくことが大事だと思います。
市民が非弁業者に依頼すると損害を被るということ,これを正しく知っていれば,非弁業者に依頼する者はいなくなる,結果的に非弁業者はほとんど根絶できるのではないか,と思います。

一方で,非弁提携については,表面上は弁護士に依頼をしているように見えるので,利用者の注意だけで防ぐことは難しいです。

非弁提携というのは,弁護士にとって,その存在意義の根本に関わる非行ですから,弁護士会がよく調査をし,厳正対処していくこと,研修の充実などで根絶していくべき問題だと思っています。

まとめ
①  非弁業者に依頼した利用者のみならず,その相手方も被害を被ることがある
②  非弁業者が「代行」「代理」する行為は,事後的に無効と扱われるリスクがあるし,そもそも不当(架空)請求の可能性も高い。
③  非弁業者が「代行」「代理」する行為は,例えば勤務先に紛争を告げるなど,違法行為を伴うことが珍しくない。
④  相手方としては,非弁行為については取り合わず,本人に事情を確認すべきなのが原則である。

1.はじめに
非弁問題については,度々取り上げてきました。
話をざっくりとまとめると,次のようなことがいえます。

利用者→割高,事後的に無効となって更にトラブルに,不利な事実を自分から提供してしまい,その後も不利になるリスクがある。
弁護士→そういう者と提携したり,あるいは利用したり,さらに協力したりすると,最悪で資格や財産を失うリスクもある。


こういう話は,度々されてきたところです。ですが,意外にも相手方の問題,つまり利用者から依頼を受けた非弁業者がする非弁行為の相手方の問題については,あまり解説されてこなかったようにも思えます(拙著「非弁対策Q&A」においては,中心的テーマではないですが,解説をしています。)。
そこで,ここでは簡単に,非弁業者から何らかの代理や代行名目での請求等を受け取った場合のリスク,対応を解説します
なお,非弁行為の該当性の判断は難しいケースも多く,他の事件と同じくケースバイケースの判断が要求されます。
ですから,以下は一例であり,ご自身の問題に適合しないリスクもあること,自分の問題については,弁護士への相談をお勧めします

2.非弁行為には無効になってトラブルの蒸し返しのリスクがある
第一のリスクとしては,非弁業者からの請求や,交渉の結果としての合意が事後的に無効と判断されるリスクがあることです。これは,法律上も事実上もいえます。
まず,法律上の問題ですが,非弁行為を依頼する行為は,犯罪を依頼する行為ですので,法的には無効となります依頼が無効である以上,非弁業者は,利用者本人を代理し,あるいは代行をする権限はない,ということになります。
権限がないのに,勝手に他人名義で契約ができないのと同様,非弁業者からの請求等は無効であると判断されるリスクがあります。

3.そもそも本人の意思にも反している可能性がある
また,仮に法的に有効であったとしても,事実上,大きなリスクがあります。
弁護士にしろ,他の士業,そして専門職は,依頼者のニーズや判断,意思確認をすることの重要性を十分に学んでいます。意思に反する行為をしないように,慎重な配慮をしています。
一方で,非弁業者そのような配慮について学んでいません。それどころか,私はこれまで膨大な数の非弁業者を目にしてきましたが,まともに本人の意思確認,説明をしているケースはほぼありませんでした

そうなると,法的な問題は別としても,利用者本人から「自分は,その金額で納得する/退職する/そんな請求をするつもりではなかった!」ということで,トラブルになる可能性があります。
その際に,相手方本人が非弁規制のことを知っていれば,自分にとって有利だと思えば有効だと主張し,不利であれば非弁行為だから無効だと,自由に選ばれるというリスクも考えられます。

4.請求内容も不当なことが多い
加えて,内容が不当な,そして手段が不当な請求を受けるリスクがある,その点について信用ができないので,そもそも交渉はおろか,請求(代行)の適否を検討するメリットがないという問題もあります。

弁護士であれば,相手方一方の主張に依拠しているとはいえ,すくなくとも,相手方の主張から成立しない法的請求はしません。相手方がお金を貸したと主張していないのに,お金を返せとか無茶な請求はしません。また,金額についても,最初の請求は高めにすることもありますが,異常な高額には通常は設定しません。

通常,あまり無茶な主張を最初からしてしまうと,相手に弁護士がついた場合,「交渉の価値がない」と判断されてしまうリスク(交渉で解決出来ずに対応コストとリスクが跳ね上がることになります。)があるからです。

5.違法・不当な手段が使われる
また,内容は別として,手段が不当になるリスクもあります。
よくあるのが,自宅や職場まで押しかける,勤務先を始めとした第三者に紛争を知らされる,などです
これらの行為は不法行為となります。これは法律家であれば常識ですが,非弁業者にとっては常識ではありません彼らは裁判手続を利用出来ませんので,嫌がらせでもなんでもいうことを聞かせられないと仕事にならない,という事情があるので,こういう違法不当な行為に及んでしまうことになります。

6.非弁業者からの請求等への対処方法
このように,自分は非弁業者に依頼しなくても,相手方が非弁業者に依頼をすると,違法不当な行為の被害に遭うというリスクがあります。
要するに,非弁業者は,利用者もその相手方も,みんなに迷惑をかける,損害を与えるということになります。

こういった場合の対応方法ですが(なお,最初に申し上げたような注意点に留意し,弁護士への相談を心がけて下さい。),まずは,非弁業者に返事をしない,相手にしない,ということが重要です。
その上で,利用者である相手方本人に,可能であれば書面で,非弁行為の可能性があること,代理権や代行する権限について明らかでないので対応できないこと,非弁行為であった場合,お互いに不利益であるので,資格を有する代理人か,さもなくば本人から連絡をされたいこと,以上を伝えるのが重要です。

ケースによりますが,非弁業者は,利用者のことよりも自分の非弁行為がバレることの方が大問題ですので,ほとんどのケースでは,この対応でどこかに消える(逃げる。)ということになります
もちろん,以上は一例に過ぎません。ケースによって最適な対応は異なりますので,くれぐれも留意をして下さい。

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