弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは, i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。

2018年10月

弁護士のための車選び(二弁フロンティア 2016年3月号)

(・∀・)私の所属する第二東京弁護士会には,「二弁フロンティア」という機関誌があります。
(^ω^)法律実務の雑誌だお。いろいろと実務上,有益な特集も組まれているお。二弁の会員でなくても,弁護士でなくても購読できるお。バックナンバーは二弁の公式サイトから読めるお!
(・∀・)身内を褒めるようでちょっと恐縮ですが,各単位会(弁護士会)の機関誌の中でも,屈指の出来だと思います。
(^ω^)過去には,「こんな代理人弁護士は嫌だ!裁判官に本音アンケートとりました!」という特集もあったお!
(・∀・)いや,それはタイトルが違うでしょう。まあ,内容はそうですけれども。
(^ω^)今回は,話題を呼んだ特集を紹介するお!
(・∀・)弁護士のための車選び(二弁フロンティア 2016年3月号)です。弁護士向けの車を紹介しています。
(^ω^)コンセプトは,コスパの良い,実用的な車の紹介だお!
(・∀・)節税アイテムとして,高級車も紹介しています。
(^ω^)ということで,是非,読んで欲しいお!

まとめ
① 弁護士法との抵触のリスク(非弁行為のリスク)がある業者の中には,(顧問)弁護士と相談したから大丈夫だと主張する業者がある。
②  ①のようなことは,どの業種でもありうることで,それ自体は問題ではない。
③  しかし,①について,弁護士の検証が不十分な疑いのあるケースもある。
④  ①で大丈夫だというのであれば,最低限,弁護士の氏名,検証の要点,根拠の概略程度は示すべきである。

非弁行為該当性の疑われる業者が,しばしば,「(顧問)弁護士と相談をした。適正にやっている。非弁行為にならないように配慮している。」などと標榜することがあります

事業をやっていくにあたって,法令と抵触しないように注意を払うことは当然のことです。これは,弁護士法の問題に限りません。また,そのために弁護士に相談すること,相談した結果を取引先等の関係者に案内をして安心をしてもらう,いずれも大事なことですし,あるいは普通にあることです。

ただ,非弁行為であることが疑われるような業者の場合,すこし,この表現に疑問を抱かざるを得ないケースもあります。
まず,そもそもウェブサイト上の表示をそのまま信じると,非弁行為をやっているとの疑いが濃厚であるというケースがあります。そうすると,いくら弁護士に相談をしたからといって,果たして非弁行為にならないようにしているのか,大いに疑問です。非弁規制は表示の規制もありますから,果たして,その(顧問)弁護士が指導したのか,指導したとして,その内容が適切か,疑問を抱かざるを得ないこともあります。

私たち弁護士は,もちろん,自分の相談者,依頼者,顧問先が違法ないし犯罪行為を行ったというだけでは,直ちに責任を問われません。
ですが,非弁行為に限らず違法行為,犯罪行為を助長することは禁じられています。更に,これは非弁行為特有の規制ですが,非弁行為を行い,あるいはその疑いのある者に,自分の名義を利用させることは,厳重に禁じられています

ですから,他の業法に関する助言に比して,弁護士法に関する助言については,以上のような非弁提携固有の規制があるので,格別な注意が要求されます。
それにも関わらず,広告の表示上,非弁行為が疑われるのに安易に「太鼓判」を押すことは,問題となる場合もあると思います。

また,利用者の立場からしても,「(顧問)弁護士と相談したのか。なら安心だ。」と安心してよいものか,疑問が残ります。
利用者にとって非弁業者や非弁提携弁護士に依頼すると何が問題なのか。」で解説した通り,非弁行為を行う業者に依頼をすると,思わぬ,そして重大で取り返しの付かない損害を被ることがあります。

そうすると,せめて「(顧問)弁護士に相談してやっています。だから大丈夫です。」という案内については,それだけでは不十分ではないか,と思います。
弁護士の氏名はもちろん表示すべきでしょう。本当に大丈夫なら,その弁護士は名前を出せるはずです。名前も出さないのは,違法の疑いがあると実は思っているとか,そもそも,相談した弁護士なんか実在しないのではないか,とも疑われるでしょう。

また,「大丈夫」「適切」ということについても,いかなる理由でそうであるのか,少なくとも,検討の要点は述べるべきでしょう。弁護士法違反の行為は,依頼者に多大なる損害が生じます。その重要性を理解できているのであれば,安心させる,信頼確保の観点からもこれは必要です。

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銀のアンカー4巻より。

(・∀・)久々の漫画紹介です。
(^ω^)今回は何かお?

(・∀・)今回は,「ドラゴン桜」などで有名な,三田紀房先生が原作の「銀のアンカー(関達也先生作画)」です。
(^ω^)お,三田先生は知っているお。大学受験をテーマにした「ドラゴン桜」は有名だお。これは,何がテーマだお。

(・∀・)これは,大学生にとって受験の次に立ちはだかる大きな壁,「就活」をテーマにした漫画です。
(^ω^)なるほど。就活のテクニックなどを解説するのかお?

(・∀・)もちろん,テクニックみたいなことも豊富に載っています。ですが,この作品のすごいところは,ドラゴン桜でもそうですが,「なぜ,その技術が大事なのか。」という根拠をよく掘り下げているところです。
(^ω^)ほお,もっともらしい,「そりゃあ,ただしいけれどもね」「それができれば苦労しないよ」みたいなことで埋め尽くされたハウツー本が多い中で,それは興味深いお。

(・∀・)こういう書籍は,作家の実力が厳しく問われるのですが,「ドラゴン桜」の作者にふさわしい出来になっています。やるべき事,心がけるべきことを,ちゃんと細分化して,一つ一つ実践的かつ実戦的に描写していくので,本当の意味での実用書であるといえるでしょう。みんなできる,そしてみんなやる気になる,という基本かつ重要な点をおさえています
(^ω^)単に答えや技術を羅列するだけではなくて,どうしてその結論にたどり着くのか,精神論に頼らず,演繹的,理論的な構成になっているお。

(・∀・)就活生はもちろん,人が人を評価するときのポイント,初対面におけるコミュニケーションの留意点などを豊富に掲載していますので,社会人(この言い方はあまり好きではないですが。)にもお勧めです!
(^ω^)なお,冒頭のコマは,結構有名な台詞だお。これも結論はわかるし,賛成する人が多そうだけれども,「何故そうなのか?」という理論的裏付けを,本当にわかりやすく説明しているお!是非,本書でチェックして欲しいお!

銀のアンカー1巻(ジャンプBOOKストア!)

まとめ
①  本人訴訟支援とは,弁護士等代理人をつけない本人訴訟において,書面作成や相談等のサポートをすることをいう。
②  本人訴訟支援は資格がないとできない
③  本人訴訟支援は,弁護士と司法書士が行える。
④  司法書士が行える本人訴訟支援は,言い分の整理や形式的な手続の助言等に限られる。それを超えるときは,自分の裁判上の行為が無効と判断され,却下判決や反論無しということで敗訴するリスクがある。
⑤  弁護士や認定司法書士(ただし,簡裁における手続に限る。)による本人訴訟支援は,④の制限がない

解説
本人訴訟支援」というサービスがあります。
本人訴訟とは,訴訟を,弁護士や認定司法書士(司法書士の中でも特別な資格を得た司法書士で140万円以内の事件について,簡易裁判所で訴訟代理したり,あるいは裁判外で交渉代理ができます。)に依頼せずに行うことをいいます
「本人訴訟支援」とは,本人訴訟について,主に書類作成やそれに関する相談を行うサービスをいいます。

さて,本人訴訟支援は,訴訟という法律事件について,意見を述べるという鑑定や,書類を作成して訴訟法上の法律効果を発生変更したり,保全明確化するので法律事務にあたります。ですから,弁護士法72条本文の適用があります
したがって,(業務として報酬目的での)本人訴訟支援は,無資格で行うことはできません
弁護士資格以外であれば,司法書士の資格があれば,本人訴訟支援をすることができます(ただし,以下に述べる範囲の制限があります。)。
司法書士は,裁判所に提出する書類の作成業務とそれに関する相談を行うことができますので,本人訴訟支援を行うことができます。
なお,たまに勘違いがありますが,司法書士の裁判書類作成業務は,審級や訴額の制限がありません。ですから,簡易裁判所だけではなく,地方裁判所や高等裁判所,最高裁判所への提出書類の作成業務も可能です。

それでは,司法書士の本人訴訟支援の範囲はどのようなものでしょうか?法廷に立たない,代理をしない,形式的に本人の名義での書類であれば,いかなる相談,支援もできるのでしょうか
いいえ,そうではありません。これについては,「司法書士・行政書士の書類作成業務の範囲について」で解説したとおりです。つまり,誤解を招かない程度に言い分を整理して書類にする,直す行為が可能であり,かつ,それに限られ,専門的法律知識を用いて何か内容を提案をしたり,あるいは判断を提供したりする行為は含まれない,ということになります。

それを超えた場合,どのような扱いになるでしょうか。その場合は非弁行為という扱いになりますので,裁判上の効果は無効と扱われる可能性があります。
裁判所は,訴え提起が無効であるとして却下判決をすることができますし,そのような先例もあります。また,被告側であれば,反論が無効ということで,反論無しとみなされて,敗訴することもあるでしょう。
また,相手方はそれについて指摘するでしょうし,紛争と関係のないところでリスクを負う,弱みを抱えることになります。
ですから,司法書士による本人訴訟支援を利用するのは,自分の言い分が決まっているので,それを整理して欲しいだけである,専門的な判断は要らない,大丈夫であるという自信がある場合に限るべきでしょう。要するに,手続や形式面でだけの助言が欲しい,あとは書面を整理して欲しいという場合にだけ利用するべきということになります

それを超えて,自分の希望を実現するよりよい方法,すべき主張や証拠の助言や専門的法的な判断,助言が欲しい場合は,弁護士か認定司法書士(ただし訴額が決まっており,かつ,それが140万円以内の場合)に相談をするべきであるということになります。

その際,そもそも本人訴訟支援を利用することの適否についても,助言が得られると思います。

今回は,最高裁判決の解説です。子どもの事件等を積極的に取り扱う淺井健人弁護士(東京弁護士会)からの寄稿です。

(・∀・)いつもながらわかりやすいですね。

平成30年10月19日、共同相続人間でなされた相続分の無償譲渡は、原則として特別受益にあたるとする最高裁判例が出ました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/060/088060_hanrei.pdf)。
今回は、この判例について、解説していきます。


Ⅰ 事案の概要
fig-1

1 B死亡(Bの相続人は、X、Y、A、C、D。Bは複数の土地建物、預貯金等を有する資産家。)。

2 Bの遺産分割がなされる前に、A、DはBの相続分をYに譲渡
3 Aは全財産をYに相続させる遺言を作成。
4 Bの遺産分割調停成立。
5 A死亡(Aの財産は死亡時、ほとんどなく、債務超過であった。Aの相続人はX、Y、C、D。)。
6 XはYに対し、Aの相続に関して遺留分減殺請求権を行使。


Ⅱ 判旨
①共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、
②譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き
上記譲渡をした者の相続において, 民法903条1項に規定する「贈与」に当たる


Ⅲ 解説
1 遺留分
 遺言によって、特定の人にすべての財産を相続させるとされた場合であっても、一定の法定相続人には、法定相続分の一部が保障されています。
 具体的には、兄弟姉妹以外には、法定相続分の2分の1が遺留分として保障されています。
 法定相続分は、以下のとおりとされています。

①配偶者と子どもが相続人の場合は、それぞれ2分の1(子どもが複数いる場合は2分の1を人数で割る。非嫡出子がいる場合であっても、平成25年9月5日以降の相続では等分。)。
②子どもがおらず、配偶者と亡くなった方の直系尊属(父母など)が相続人の場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1(直系尊属が複数いる場合は3分の1を人数で割る)。
③子どもも直系尊属もおらず、配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人の場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1(兄弟姉妹が複数いる場合、原則、4分の1を人数で割る。父母の一方のみが同じ兄弟姉妹の相続分は父母の双方が同じ兄弟姉妹の相続分の2分の1。)


2 本件について
 本件は、
①資産家であるBが亡くなる前に、Yの妻をA・Bの養子としてDがBの財産を相続できるようにし、
②Bが亡くなった後、A、Dが相続分をYに無償譲渡し、
③Aの全財産についてもYが相続するよう遺言をしている
ことから、資産家であるBの財産をなるべくYに承継させるように、専門家に相談したうえでスキームを組んだものと考えられます。
 相続分を無償譲渡するという方法は、原審では特別受益にはあたらないとされていたものであり、また、下級審でも特別受益にあたるかどうか判断がわかれていました。
 しかし、今後は、少なくとも、
①共同相続人間で②無償でされた③財産的価値のある相続分の譲渡については、特別受益にあるとされることから、このようなケースにあたっている方は弁護士に相談されることをおすすめします。

なお、相続分の譲渡が有償でなされた場合については、本判例では明らかにされていませんが、少なくとも、相続分の価値と比べて相当に低い金額で譲渡された場合は、特別受益にあたるとされる可能性が高いでしょう。
 なお、遺留分に関しては、信託を使って遺留分を消すという目的のもとに組成された信託につき、信託行為を違法であるとして取り消した裁判例(東京地裁平成30年9月12日)も出ているようです。信託の場合、信託行為設定の際に相当額の税金も支払っていることから、重大な損害が発生してしまいます。
 相続のスキームの組成は、遺留分減殺請求(相続法改正後は、遺留分侵害額請求)のリスクも十分に理解したうえでする必要があり、法の趣旨を十分に理解した専門家に依頼すべきでしょう。


Ⅲ 相続法改正との関係
 相続法の改正により、遺留分減殺請求や相続人に対する贈与(特別受益にあたるもの)は、以下のとおり改正されます。以下の改正は、2019年7月13日までに施行されます。
改正前は、
①共同相続人に対する贈与はすべての贈与を遺留分算定の基礎に算入する
②遺留分減殺請求がされた場合、原則は現物返還とされ共有状態となってしまうが、金銭で返還してもよい
とされていましたが、
改正後は、
①共同相続人に対する贈与は、相続開始前10年間にされた贈与に限って遺留分算定の基礎に算入する。ただし、加害の認識がある場合は、10年以上前にされた贈与であっても算入する。
②遺留分侵害額請求(改正前の遺留分減殺請求に相当)がされた場合、金銭債権のみが発生する
とされます。
 したがって、仮に相続分の譲渡が10年以上前になされ、贈与時の加害の認識を立証できなければ、遺留分の算定の基礎とはなりません。しかし、紛争予防の観点から、相当な財産的価値のある相続分の譲渡をする場合には、遺留分を侵害するおそれがないか慎重に検討しておき、加害の認識がなかったことを記録に残しておく必要があるでしょう。

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