9月6日放送のAbemaPrime内で,京アニ放火事件の被疑者への刑事責任追及問題について,コメントしました。

刑事訴訟における一般的ルールについて簡単に触れたものです。
起訴して刑事責任を問うということになった場合,訴訟能力が問題になるというものについて,説明をしました。

いわゆる責任能力(是非弁別して行動する能力)は刑事責任を認めるのに必要ですが,それは,行為当時に必要です。

一方で,刑事責任を追及するには,起訴をして刑事裁判にかける必要があります。裁判無くして刑事責任を問うことはできません。
そして,刑事裁判においては,手続きにおいて自らの権利を守るべく防御する機会が保障されなければいけません。これを手続保障といいます。

そして,刑事裁判の場面において,防御をするためには,十分に意思疎通が図れる健康状態でないといけません。このように刑事裁判において自ら防御することのできる能力を訴訟能力といいます。

したがって,行為当時に責任能力があったとしても,そもそも裁判をする段階で,意思疎通を図ることができないと,訴訟能力がないということで,刑事責任を問うことはできない可能性がある,ということです。