インターネットの普及により、誰もが手軽に情報の発信者となることができました。
それに伴い、これまで、放送業界や著述業など、プロだけが意識をすればよかった名誉権、プライバシー、著作権の問題について、一般市民も発信をする以上は意識をすることが必要になってきました。

と、こういう枕詞を、もう述べることが野暮というか、古臭く感じるくらい、市民による情報発信は普及し、あるいは常識になっています。

ここでは、著作権に関するデマ、特にネットで流布され、行われているデマについて、紹介しようと思います。

ちかく、ひょっとしたら、権利者側(無断転載の被害者)からのデマについても解説するかもしれません。

1.引用だから大丈夫
一番多いのですが、過去に解説した通り、引用の要件は、かなり厳しいです。出典を明記すればよいとか、そういうものではありません(そもそも、正確に言えば、出典の明記は引用者の義務ですが、引用の要件ではありません。)。

2.少し転載しただけだから大丈夫
よく漫画の転載である話ですが、一巻丸ごとではないから大丈夫とか、そういう話があります。
一話丸ごとであれば、基本的に引用の要件は満たさないでしょう。また、場合によっては1ページ程度でも、引用の要件を満たさない場合がありえます。
この辺りは、形式的に決められる話ではありません。

3.お金を取っていないから大丈夫
そういうルールはありません。転売目的でないなら泥棒しても良い、というようなレベルの話です。

4.苦情があれば削除するから大丈夫
そういうルールもありません。
万引きしてもばれたら商品返すから大丈夫って、ネットで言ったら袋叩きにあいそうな話と、同レベルです。

5.親告罪だから大丈夫
親告罪は、告訴されないと犯罪にならないという意味ではありません。また、それが不法行為であることとも関係ありません。
一例を挙げれば、器物損壊罪も親告罪ですが、だからといって、気軽に日常的に人の車のエンブレムを剥ぎ取っていいわけがありません(どこかの漫画の主人公がやっていましたが)。
4についてもいえますが、「ずーっと、苦情を言われなかったので・・・」ということになると、賠償額が積算されてとんでもないことになる可能性もあります。

6.二次創作だから大丈夫
これは、二つ意味があって、二次創作についても、二次創作者は著作権を有します。
ですから、二次創作を勝手にコピーなどすると、二次創作者の著作権侵害となります。
一方で、原著作者は、二次創作物についても権利を保持します。
ですから、自分が作ったといえども、それが二次創作であれば、原著作者の許可なく、公開すると著作権侵害に問われかねません。
イラストではなくてグッズだとまずいとか、いろいろな言説があるみたいですが、法的には同列です。
二次創作物の頒布等は基本的に犯罪です。訴えられたらどうとか、そういう以前の話です。
(もっとも、私はこういう規制は厳しすぎるし、ファンアートは素晴らしい文化なので、これに一定の配慮をする必要もあると思います。緩和する立法をするか、それがないのであれば、ぜひ、権利者は、二次創作ガイドラインを策定してほしいと思います。)