司法書士は,不動産の取引に立ち会うに際して,他人の土地を売る者,いわゆる地面師の被害を避けるため,本人確認をする義務が課せられています。

この義務を怠って依頼者が損害を受けた場合,損害賠償義務を負うものとされています。

もっとも,司法書士といえども神様ではないですし,結果的に地面師を見抜けなかったとしても,十分な注意をしていれば,責任を負わないとされています。
これは,たとえば医療過誤事件でもそうですが,責任の発生には,悪い結果だけでは足りず,注意義務違反が必要とされています。

以前,司法書士会に依頼をされて,この注意義務はどの程度要求されるか,というテーマで講演をしたことがありました。

裁判例の中には,司法書士に名探偵級の洞察力を要求していると疑われるものもありましたが,かなり問題だと思います。
たとえば,証明書の紙質から分かったはずだとか,かなり無茶苦茶を言い出しているものもあります。そんなこと言われたって,地方公共団体毎に違うわけですから,「日本全国印鑑登録証明書コレクション」とか所蔵していない限り,無茶な話だと思いますが・・。