非弁については,何回か解説をしています。最近は,詐欺被害等への関心の高まりからか,市民にも非弁規制に関する知識が多少は広まったのではないか,と思います。

非弁行為あるいは,非弁行為ではないけれども,そう疑われる可能性のある事業を行う業者としては,顧客から非弁だと思われれば依頼を受けることはできません。また,相手方が非弁であると判断すれば,相手にされなくなり(法律行為は無効であると扱われ),これもまた「事業」を遂行することができません

したがって,最近,「自分たちは,非弁行為をしていない。これは,(顧問)弁護士にも相談をして確認をした。」などと標榜するケースがあります。

実際に,こういった事業者が非弁行為を行っているかどうかは別として,その信用性をどう考えるべきでしょうか。

一般論として,「本人がいう『弁護士がこういっていた』は信用できない。特に,その弁護士の氏名が不詳である場合は,なおさら信用できない。」というのが,弁護士の共通した印象であると思います。

これは,そもそも伝言ゲームであり,基本的に信用するかどうか慎重に考えるべきでしょう。また,これは,やむを得ないこと(むしろ弁護士が誘導すべき)なのですが,相談時に自分に都合のよいことをだけを,相談者が話すということはよくあります。加えて,弁護士の回答についても自分に都合のよいことだけを記憶に留めて,第三者にもそれしか話さない,あるいは都合良く修正する,ということはよくあります。
これは,法律相談に限らないのですが,非常によくあるパターンです。

また,非弁の疑われる事案においては,事業者にとっては,非弁に該当するかどうかが事業の継続性に関する重大な問題です。閲覧している者,つまり顧客はもちろん,その事業の「相手方」にも,納得してもらわないといけません。
このような重大なことを,弁護士に聞いた,といいつつもその弁護士の氏名も,その理由もろくに明らかにしない,というのでは,信用性については慎重に考えざるを得ないでしょう。

また,中には,弁護士ではなく「顧問弁護士」から話を聞いた,と表示をしているケースもあるようです。
ですが,大事な顧問先の大事な事業について,その氏名も理由も出さずに非弁ではない,と表示することは,あまり合理的ではないと思います。大事なことですから,顕名(氏名を表示)で,それに理由も付すべきだと思います。

もっとも,こういう表示については,弁護士もリスクを負担する場合があります。弁護士職務基本規程上は,非弁と疑わしき者を利用し,あるいは名前を使わせるだけでも違反行為となります。
そうすると,氏名を表示していないのは,そのリスクを避けるため,つまり,非弁の疑いがあると,他ならぬその(顧問)弁護士が考えているのかも知れない,という疑いも生じます

私としては,インターネット時代,いろいろな事業が興されるのは大変結構だと思いますし,非弁の疑いがあるケースでも,それを払拭して事業ができれば,それはよいことだと考えます。
ただ,実際に,そのために必要な配慮,準備(顕名で弁護士が理由付で非弁でないことを説明して顧客等に表示する等)が行われているか,というと,疑問を持たざるを得ないケースもあるのではないか,と思います。