以前から,探偵業の許可を悪用して,非弁行為を行うケースがありました。

探偵業について,よくある誤解があるのですが,探偵業そのものに,その技能などを認定する国家資格,免許などはありません

探偵業は,主に届出制という規制が行われています。これは,その業務を行うには,都道府県公安委員会への届出が必要というものです。逆にいえば,届出さえすれば,一定の例外を除いては,特に資格も何も要することなく,探偵業を行うことができます。したがって,たとえば試験等を要求される自動車免許よりは,この点においては,規制が緩いということになります。

また,探偵業については,探偵業の業務の適正化に関する法律という法律があり,その法律によれば,次のように定められています。

6条 探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。

つまり,探偵業だからといって,それだけでは特別な試験などを経ている訳ではなく,しかも特殊な一般人が行えないことができるような特権が付与されているわけではありません

これは,弁護士業つまり法律事務との関係でも同じで,例えば詐欺業者について調査はできても,そこから回収をしたり,そのための必要なアドバイスができるというわけではありません

中には,山のように警察関係等,公的機関のウェブサイトへのリンクを貼り付けて,さも特殊な許可を得た機関のように装っているかのような探偵業者もありますので,誤解が無いように注意が必要です。

なお,通常,不倫や詐欺被害等について解決をしたいのであれば,弁護士に相談をし,弁護士の指示や見通しにそって,必要に応じて探偵業者を利用することが,最も合理的だと思います。