法律問題について「この場合の慰謝料は?」というのは定番の質問です。

法律相談でも,度々見通しを聞かれるのですが,多くの場合,そんなに安いのか,というような反応がかえってきます。

これにはやむを得ない理由もありまして,おおざっぱにいうと,慰謝料というのは,苦痛を金銭に換算するものです。人間にとって最大の苦痛としては,典型的には「自分の死」が考えられます。その,死亡の場合の慰謝料が2000万円からというのが,一種の基準,相場となっています。

死亡ですら2000万円であるのだから…,ということで,慰謝料は,さほど高額にならないケースがしばしばある,ということになります。

なお,それでも慰謝料が高額になるケースがあります。典型的には,刑事事件における示談金の場合です。
この場合,被疑者としては,示談が出来ないと刑罰を受ける,前科が付いてしまう,場合によっては刑務所行き,という立場にあります。その不利益を避けるために,裁判で認められる相場をはるかに上回る示談金(慰謝料)で合意されることもあります。

逆にいえば,こういうケースの場合,刑事処分がされると,そういうインセンティブがなくなるので,高額な慰謝料で合意が出来る可能性は,極端に低くなるということがいえます。

このように,慰謝料や示談の関係は,難しい,微妙な問題がありますので,できる限り,特に相手に弁護士が付いているときは,合意前に弁護士に相談をしたほうがいいでしょう。