※ この記事の続編日本で働くために外国弁護士資格「から」取得する意味
最近,外国弁護士の資格をお持ちの方や,あるいは,それを目指す方が話題のようです。

そこで,今日は外国弁護士の資格と日本法についてお話ししたいと思います。

まとめ

① 外国の弁護士資格では,日本で弁護士業務ができない。その外国の法律についても同じ。
② 逆に,日本では,日本の弁護士資格さえあれば,世界中の法律について弁護士業務ができる。
③ 外国の弁護士資格+3年の実務経験があれば,日本で外国法事務弁護士というものになれる。これになると,その外国の法律についてだけ日本で弁護士業務ができる。


1.外国弁護士と弁護士の関係

まず,用語の整理ですが,日本の法律上,弁護士とは,日本の弁護士資格を有する者のみをいいます。外国の弁護士資格とは明確に区別されています。

一方,日本の法律上でいうところの外国弁護士とは,外国における日本の弁護士に相当する資格を有する人をいいます。たとえば,ニューヨーク州弁護士とか,あと中国でいえば「律師」等です。

日本の法律上,日本国内においては弁護士業務は弁護士でないと行うことができません。外国弁護士は,日本の法律上の弁護士ではありません。ですから,外国弁護士は,そのままでは日本で弁護士業務を行うことができません。これは,たとえ,その外国弁護士の資格国の法律に関する業務でも同じです。ですから,ニューヨーク州弁護士の資格を持つ者が,日本で,ニューヨーク州の法律について弁護士業務を行うことも法律で禁じられている,ということになります。

逆に,実際にできるかどうかはさておき,日本では,日本の弁護士資格さえあれば,世界中の法律に関する弁護士業務を行うことができます。

2.外国法事務弁護士という仕組み

以上の原則は,必ずしも合理的ではないことがあります。日本でニューヨーク州の法律について相談をしてもらおうとしたら,ニューヨーク州弁護士に相談することができず,(詳しいかどうか保証がない)日本の弁護士に相談をせざるを得なくなります。

そこで,作られたのが外国法事務弁護士という制度です。
これは,外国の弁護士資格を有する者は,3年の実務経験を条件に外国法事務弁護士という資格を認定し,日本国内で,その外国法について弁護士業務ができる,というものです(なお,要件は他にもあり,審査があります。)。

それでは,日本人が,外国法について弁護士業務をしようとしたら,日本の弁護士になるのがいいか,それとも,その国について外国弁護士資格を得て,外国法事務弁護士になるのがよいのでしょうか。

これについては,次回に続きます。