弁護士 深澤諭史のブログ

弁護士 深澤諭史(第二東京弁護士会 所属)のブログです。 相談等の問い合わせは,氏名住所を明記の上 i@atlaw.jp もしくは 03-6435-9560 までお願いします(恐縮ですが返事はお約束できません。)。 Twitterのまとめや,友人知人の寄稿なども掲載する予定です。


はっきりいって、バッジをかけることになりかねません。
通常の法律顧問では、「知らないうちに顧問先が違法行為をしていた」というだけでは、通常は責任を問われません。

ですが、非弁業者の場合、その業務がメインであること、当然に顧問弁護士もそれを知っていた、知っているべきだったこと、ということから、知らないというような言い訳が通用しにくくなります

もちろん、そうであっても、改善のために努力するなどすれば問題がないのですが、名前を表示させるだけ表示させるなどしていると、弁護士として非弁行為に協力したという評価にもなりかねません。

通常の違法行為と違って、非弁行為との関係では、弁護士は高度の注意義務が課せられています
非弁業者の顧問弁護士になるなどして、利用をされないよう、くれぐれも気をつけるべきです。

民間資格としての「●●士」

最近、●●士だのといって、一定の講習を受けると、民間資格がもらえると言うようなビジネスが流行しています。

たしかに、一定の学習、講習、試験を、体系化して、その結果を資格タイトルと言う形にすると言うこと自体は、決して悪いことではありません

むしろ、学習の成果が目に見えて分かるので、社会的には有益な事業だと思っています。もっとも、中には、法規制に関する誤解を利用したかのような、そういう資格商法のようなものが行われていると言うのも事実です。
これは、「サムライ商法」などといわれている昔からある手口です。

民間資格では特別な業務はできるようにはならない

最初に、結論から申し上げますと、民間の資格をいくら手に入れても、もともと国家資格が必要な仕事をすることができるようにはなりません
例えば、「外科治療専門士」、というような民間資格(架空例です。)が仮にあったとして、これを手に入れたからといって、医師でもないのに手術ができるようになるとかそういうことにはなっていません。

弁護士業についていえばなお注意が必要

特に、弁護士業務との関係では、よくよく注意が必要です。
最近、相続や交通事故についての民間資格が多数作られているからです。
中には、ちゃんとレビューしていないせいで弁護士法について誤解しているか、あるいは、知っていてあえて誤導しているのではないか、というのもあります。

具体的な案件について法的アドバイスをするには資格が必要

そもそも法律上、交通事故や相続の具体的な案件について、法律的なアドバイスをすることができるのは原則として弁護士と認定司法書士(140万円まで)だけです。弁護士法は、紛争解決の代理のみならず、法律事務一般について適用があります
アドバイスだけならokとか、そういう誤解があります。そこにつけ込んでいる可能性のある民間資格もあります。

ネットワークも構築できないし、犯罪である

中には、図を書いて、●●士を中心とする専門家ネットワーク等と称して、そういったもののマッチングであるとかそういったことをする、できるようになる、などと標榜している例もあります。
しかしながら、弁護士法は、自分で事件を処理するだけではなくて、それを周旋する行為も禁じています

ですから、こういう資格を手に入れても、何か法律問題についてアドバイスができるとか、ネットワークなるものが作れるとか、そんなこと一切ありません
それにもかかわらず、こういったことをやれば、それは犯罪となります。

法律業務における民間資格の正しい利用法

ただ一方で、すでに弁護士や認定司法書士の資格を持っている人が、特定分野について高い見識があることを、顧客に示すために、そういう資格を取ることについてはもちろん問題がありません
そういう民間資格はなくても業務はできるわけであり、かつ、その資格は、あくまでも法律上許された業務について、特に高い能力があることをアピールするポイントに過ぎないからです。そういう使い方をすれば、非常に有益な話だと思っています。

つまり、こういう資格は、(法律上の資格が必要な分野については)弁護士資格など国家資格と結びついて初めて意味があるものであるといえるでしょう。

民間資格で法律業務をすれば犯罪

なお、実際に、こういう●●士などの民間資格に基づいて、法律業務を行った場合には犯罪が成立します。
そういう規定があるとは知らなかっただのという言い訳は通用しません。これは、例えば、泥棒が悪いことであるとは知りませんでした。といっても、罪を免れないことと一緒のことです。

また、以前も解説しましたが、非弁行為によって行われた合意などは、後から無効であると判断される可能性もあります。
ですから、場合によっては、依頼者から莫大な損害賠償請求をされるリスクというものもあります。

ですから、くれぐれも、こういうものに引っかからないように、注意が必要です。

任意売却と競売の相談は弁護士へ。弁護士以外への相談が危険な理由」という記事を書きました。
これに限らず、非弁行為には消費者被害という側面があるので、今後も警鐘を鳴らしていきたいと思います。

なお、実は弁護士の元にも依頼者の不動産の処分で困ってはいないですか?紹介料払います!」という勧誘FAXが来ています。
こういう契約をすると、弁護士が「依頼者の利益よりも紹介料の高さで任意売却を決める」ということになりかねず、非常に問題です。
もちろん、弁護士職務基本規程にも反します。

ですが、弁護士に堂々とこんな勧誘をしてくる業者が後を絶たないわけですから、いわんや弁護士職務基本規程の縛りのない非弁護士の業者は何をやっているか、警戒が必要なのは当然ですね。

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