弁護士 深澤諭史のブログ

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私は以前は労働者側、それも残業代請求事件ばかりやっていた頃もあり、いまでも、それなりにやっています。
最近ですと、使用者側のほうが比率が高かったりします。
そういう私ですが、世の中には労働者側弁護士ですごい先生がたくさんいらっしゃるので、私がコメントしていいのか、よくわかりませんが、よくある残業代に関する誤解を列挙してみたいと思います。

1.管理職だから残業代は不要

一番多いです。係長になると出ないとか。
管理職に残業代は不要なんて法律はありません。
おそらく、勘違いのもとは、管理監督者(労働基準法41条3号)の規定だと思います。
はっきりいうと、この定めの適用ができるケースは本当に稀です。少なくとも、私が労働者側で担当した事件で、これが認められたケースは一つもありません
正直、いちいち反論するのが面倒なレベルの主張です(一応しますが、トナーと紙の無駄遣いですね。)。
実際に、管理監督者として残業代の支払いが不要になるのは、出退勤自由、待遇や裁量が経営者と一体である、というレベルです。
とりあえず、年俸1000万円だからokとか、そういうレベルじゃありません。

2.実際に働いていない時間があるから、その分差し引く

これも多いです。
コーヒー飲んでいる時間、トイレ時間も控除すべき、とか、真顔でいう人もいますが、冗談としてもつまらないですし、本気で言っているなら、いろいろとタチが悪いです。
労働時間というのは、働いている時間ではありません。指揮命令監督下の時間、つまり、働く可能性のあった時間を労働時間といいます
月額1000円で見放題の動画配信サービスを契約したとして、30日720時間ではなくて、7時間しか見なかったから10円しか払わないとか、そういうのが通用しないのとおなじです。

3.年俸制なので残業代は払いません

とっくに絶滅したかと思いますが、未だにあります。
絶滅危惧種に指定したいところですが、保護する理由もないので、やめておきましょう。
残業代、労働時間の規制は、強行法規です。
つまり、契約よりも優先されます。反社会的勢力に嫌がらせの依頼をしても、その約束が法的に保護されないのと同じです。

4.固定残業代を払っているのでok

これも3と同じ理由です。固定残業代を払えば、他に払う必要はない、という法律はありません。
固定残業代を支払っていても、実際の残業代がそれを上回れば、その分の支払い義務が生じます
また、固定残業代は、しばしば無効になります。そうなると、全額が基本給に算入されて、残業代がとんでもない金額になることがあります。
固定残業代で固定できるのはリスクだけで、残業代は固定できません。誤解の固定は解きましょう。
ところで、これって、どこの誰がはじめたんでしょう?

5.俺はこいつに●●してあげたから、あるいは、こいつは●●したから残業代を払わなくていい

残業代は強行法規で、他に特別の法律が無い限り、これから逃れられません。
こういう言い訳は多いのですが、会社側の主張の信用性を減殺する効果しかないので、やめましょう。
とにかく、使用者が何か労働者に「おめぐみ」を下したからといって、法律上の義務は免れません
飲食店の常連客だからといってたまの食い逃げがokとかにはならないですよね?それと同じことです。

6.残業代請求対策のためにタイムカードを廃止した!法律に強いコンサルから聞いた!

流石に絶滅危惧種だと思いますが、未だにあります。
使用者には労働時間把握義務があります。
ですから、その義務に違反しますし、そうなると、過労死、残業代請求の場面で、使用者が反論できなくなり、逆に労働者側の立証が非常に強くなりますので、逆効果です。

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