2020年09月19日 【発信者側・非開示】一般私人への根拠無い悪口について発信者情報開示請求裁判で非開示にできた事例 趣旨,留意事項については「【発信者側・非開示】物的証拠のない暴言に関する投稿について,発信者情報開示請求裁判で非開示にできた事例」のとおりです。会社の同僚について悪口を投稿する,ということはよくあることです。「バカ」「アホ」「クズ」など,いろいろです。最近は,このような投稿でも発信者情報開示請求が認容される例が増えていますが,適切に反論することで,非開示にすることも可能です。なお,こういう投稿について,発信者情報開示請求を認めるか,認めないかは,議論があるところだと思っています。【事例2】会社の従業員について,社名と苗字を明記した上で「最悪」等と投稿した事例投稿内容→会社の従業員について,苗字(なお,同一スレッドにおいてフルネームも存在する。)とともに「最悪」と述べた。裁判結果→侮蔑的であるが,この程度で違法であるとまではいえない。したがって非開示。こういう悪口について,発信者情報開示請求が認められるかは,一つの論点です。具体的な悪事などを述べないケースでも侮蔑的な表現については,発信者情報開示請求が認められるケースもあります。ただ,このあたりは,いろいろと判断が揺れている,言葉だけではなくて周辺事情も考慮するので,一刀両断に判断することはできません。本件では,社名と苗字では特定出来ないと反論しましたが,さすがに,その反論は通りませんでした。ただ,主戦場は,この程度の記載では違法ではないでしょう,という点です。この点については,類似の裁判例などを詳しく引用しながら反論し,侮蔑的,要するに侮辱であることは裁判所は認めつつも,結論として,発信者情報開示請求を認めない,という結論を得ることができました。 なお,この時点では,多数の同様の投稿について発信者情報開示請求がされており,「馬鹿」等と記載するものもありました。ですが,私が担当したこの投稿1件以外は,いずれも開示されるという結論になっています。これはどんな民事裁判でもそうですが,双方の主張立証,反論が大事である,裁判所はそれに基づき判断する,という好例ともいえると思います。 タグ :#発信者情報開示に係る意見照会書#非開示